いなべ総合vs海星

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指揮官、大粒の涙!

渡辺啓五(いなべ総合)

 1対1で迎えた8回表、いなべ総合は無死一、三塁から4番・藤井亮磨(2年)のファーストゴロの間に三塁走者の守田良真(2年)が生還。これが決勝点になった。投げては先発したエースの山内 智貴(2年)が5回を6安打1失点。6回からリリーフした142キロ右腕・渡辺啓五(1年)も4イニングを2安打無失点に抑えた。

 「嬉しいです。昨年秋の東海大会準決勝と今夏の三重大会決勝で悔しい負け方をした。このままで終わるわけにいかない。先生は前を向いて頑張るからと3年生に言って、その3年生も練習を手伝ってくれて新チームの後押しをしてくれた。子供たちに恵まれています」と尾英也監督は大粒の涙を流し、3年生たちもまた感激の涙を流した。

 先発は指揮官が「悩んだけどエースナンバーでいこうと決めた」と背番号1の山内を送りだした。立ち上がりに1点を失うが、2回以降は粘りのピッチング。「3回をメドに考えていたが、粘って投げていたのと本人がいけますと言った」と5回まで引っ張った。6回からは予定していた渡辺啓への継投。130キロ台後半の直球と、変化球を組み合わせた若さを前面に押し出すピッチングスタイルが光った。9回には「自己最速です」という142キロを計測。将来が楽しみな投手との印象を残した。

 攻撃では8回表の決勝点になる前、「送りバント点が入らないと思った。ノーアウトで先頭が四球で出たら、エンドランでいこう」と決めた指揮官の作戦が当たった。無死一、三塁として藤井のファーストゴロが決勝点。「(初球から)積極的にいったことが1点に繋がったと思います」と指揮官は讃えた。因みにこの場面で藤井は当初、自打球でのファウルをアピールしていた。三塁走者の守田は、「(藤井には)後でツッコミました」と苦笑いしながら自打球でなかったことが結果的に良かったことを喜んだ。

 三重大会準決勝で延長11回の末に敗れた海星にリベンジして掴んだ初の秋季東海大会決勝。尾監督はミーティングですぐに、「決勝があるぞ」とハッパをかけた。

 一方、敗れた海星にとっては、不運な1点だった。ただ、エースの長田悠吾(2年)は左打者に対してのシンカーが有効的で、「やはり良い投手でした」といなべ総合の選手たちも手を焼いた心境を話した。第2試合で惜敗した三重とともに、三重上位3校の実力が伯仲していることを十分に証明したと言える。来春にどんな勢力図になるか楽しみだ。

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