二松学舎大附vs都立城東

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毎回得点の二松学舎、毎回長打で攻めまくり7回コールドで圧倒

先発投手・関根 智輝君(都立城東)

 今春のセンバツと、一昨年夏に甲子園出場を果たしている二松学舎大附。その時のバッテリーが残っているということで、今年の新チームも高い評価が与えられていた。しかし、組み合わせは話題の早稲田実業や実力校日大三などがいる最難関ゾーンに入った。それでも、早稲田実業、日大三を撃破してベスト8に進出してきた。

 対する都立城東は1999年夏に甲子園初出場を果たし、「都立の雄」と呼ばれて久しい。2度目の甲子園出場となった01年夏にはノーシードながら、シード校で最有力候補と目されていた二松学舎大附を3回戦で下して、この勢いで甲子園までたどり着いている。両校には、そんな因縁もあるのだが、この日はその試合を知る人も多く詰めかけていた。

 大きなヤマを乗り越えてきた二松学舎大附は、正直なところ気持ちは張り詰め続けていたであろう。そのあたりは、市原 勝人監督も十分に承知している。「大江(大江 竜聖)はこの大会では一番よくなかったですね。やはり、2週間気持ちが張り詰め続けていましたから、身体的な疲れというよりも精神的な疲れも大きかったんじゃないでしょうか。投手の調子というのは気持ちの部分にもかなり左右されますからね」と、投手出身の監督だけに、投手の立場に立って分析していた。だから、苦しい中でもなんとか1失点で切り抜け、5、6回と無死一二塁と苦しい場面が続いたのを乗り越えた粘りの投球を評価していた。

3安打中、二塁打2本と本塁打も放った橋本 雅弥君(二松学舎大附)

 そして、そんな大江 竜聖君を支えて余りある勢いだったのが打線だった。6イニングで13安打を放ったが、そのうちの8本が長打だった。

 まず初回、四球とバント安打でチャンスを作りながらも二死となったところで、5番今村 大輝君が右前打してまず1点。続く橋本 雅弥君が右中間へ二塁打して2者が還ってこの回3点。2回にも、二塁打で出た大江君をバントで進めると、1番三口 英斗君がジャストミートの中前打で帰す。3回は、都立城東は三塁手の清水 晴海君が関根 智輝君と入れ替わってマウンドに立ったのだが、二死から左翼線二塁打で出た橋本君が2つの暴投で生還し、4回も9番平野 潤君、3番市川 陸君の二塁打などでさらに3点が入り、再び関根君を引っ張り出した。

 そして、なおも攻撃の手を緩めない二松学舎大附は5回に大江君、6回は橋本君がそれぞれソロ本塁打してさらに追加点を加えていった。

 こうして終わってみたら、毎回長打の10点で、市原監督も、「打線は充実してきていい感じで振れていました。特に、橋本は上級生になって自覚も出てきたのでしょう、いい感じで打てています」と、この日も3安打で二塁打2本、本塁打も放った橋本君を称えていた。

 先週には、都立紅葉川との下町対決を地元江戸川区球場で制した都立城東は、3回に失策の走者を1番佐々木 雄也君の三塁打で還して反撃の始まりとなるかと思われた。ブラスバンドの応援もピークとなっていったが、大江君の粘りの投球と、ここぞというところで示す投球中のうまさをついぞ攻略しきれなかった。

 また、平岩 了監督もエース関根君をいったんは内野に下げて清水君と入れ替えるなどして、二松学舎大附打線の目先を変えようとしたが、抑えきれなかった。

(文=手束 仁)

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