できるビジネスマンに多い「理詰めタイプ」には“相槌”と“メモ” 

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顧客、取引先、上司を怒らせてしまった。誰にでも起こる大ピンチ! ミスを帳消しにする謝罪で、以前より良好な人間関係を築ける人もいる。現代人にとって必須のライフスキル、「謝り方」を徹底検証する。

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Q.

あなたはあるIT企業の法人営業担当。お客様に納入したシステムに不具合が続くため、商品の提案ミスではないかと連絡があった。急いで訪問するとお客様の担当者は落ち着いた口調で、ロジカルにこちらの非を並べ立てる。どうすれば無事落着するだろう?
【A】「私どもでそこまでは気が付きませんでした。勉強になります」と静かに答える
【B】「先ほどおっしゃったこと、少し違っているようですが」と指摘する
【C】「申し訳ありません。なぜこういうことが起きたかというと……」とすぐに原因を説明する

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■メモを取ることの2つの意味

一方的に怒鳴りつける人とは対照的に、理路整然とこちらの過失を突いてくる人もいる。このタイプへの応答は「おっしゃるとおりです」「そこまでは気が付きませんでした」の繰り返しが基本となる。「勉強になります」というのもよい。

「そう繰り返していると相手は『言っていることは伝わったし、自分もネタが切れてきた』という感じになってきます。理詰めでくる人にはつい対抗したくなりますが、時間の無駄です。挑発されても、乗っかってはいけません。そんなときは『すみません、お手洗いに行ってもいいですか』とでも言って場を崩すといい。戻ってきたら『話はどこまでいきましたでしょうか』と言えばよいのです」(苦情・クレーム対応アドバイザー 関根眞一氏)

ただし、ヒステリックなタイプに対して場を崩すのは禁物。怒りを増幅させる恐れがある。

理詰めタイプにもう一つ有効な手段が、目の前でメモを取ることだ。内容の記録はもちろん、「あなたの話をきちんと受け止めています」という姿勢を示すためである。

クレーム・コンサルタントの谷氏にはメモを取らなかったために失敗した苦い経験がある。

「『いま、私は3つの点について言った。繰り返してみなさい』と言われ、一つしか答えられず怒られました。それからは必ずメモを取り、話を聞き終わった後に確認しています。話した内容が伝わっているとわかれば時間も短くなるし、言った・言わないの争いを防ぎ、よい関係を築くことにもつながります」(谷氏)

理詰めタイプには「その後どう改善するのか」を重視する人が多い。納得してもらうには再発防止策が必要で、文書化を要求されることもある。そうした場合にもメモは役立つ。

【答え&解説】見識者で的は外してこない。正論を言うのでついBやCのように対抗したくなるが、ここはぐっと我慢。Aのような対応がいい。相手が冷静なら「おっしゃるとおり」という相槌もよい。長くなりそうなら、トイレに立つなど場を崩すと早く解決することもある。

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苦情・クレーム対応アドバイザー 関根眞一
1950年生まれ。西武百貨店にて全国3店舗のお客様相談室長および池袋本店お客様相談室を担当。在社中は1300件以上のクレーム・苦情を処理。2003年退社し、NPO事務局次長を経てメデュケーション代表取締役。著書は『となりのクレーマー』など。
クレーム・コンサルタント 谷 厚志
1969年生まれ。リクルートにてCS推進室を担当。2000本以上のクレーム対応を通して「クレーム客をロイヤルカスタマーに変える方法」を確立。現在は独立し、コンサルティング・講演などを行う。著書は『「怒るお客様」こそ、神様です!』など。

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(宮内 健=文)