昨季はリハビリに約2か月半を要したヤンキース・田中将大【写真:田口有史】

ヤンキース投手コーチが示唆、MLB公式サイトが伝える

 ヤンキースが右肘靭帯部分断裂から復帰した田中将大投手の負担軽減などを目的に、4月と5月に通常の先発ローテーションよりも1人多い先発6人体制の導入を検討していることが明らかになった。MLB公式サイトが「ロスチャイルド曰く、ヤンクスは序盤に6人目の先発を使う可能性」と報じている。

ヤンキースだけでなく、すべてのチームでここ数年起こった結果を踏まえて、我々はチームとシーズン序盤の状況に注視している。うちの先発投手には連戦を乗り切ってもらう必要がある。まだシーズン序盤の段階では、多くの登板回数をこなせない投手もいる。我々は彼らを仕上げていく必要もあるが、できるだけエクストラな休みを与える必要がある」

 ヤンキースのラリー・ロスチャイルド氏は18日(日本時間19日)、過密日程を乗り切るために秘策を導入する可能性を明らかにしたという。

 記事ではヤンキースが今季序盤に過酷な連戦に直面することを紹介。4月17日のレイズ戦から5月17日のロイヤルズ戦まで31日間で30試合を戦うため、先発ローテーションに多大な負担がかかることが予想されている。また、特集では昨季のヤンキースが故障者続出で先発投手を計13人起用したデータに触れている。

 特に先発ローテの中心を担う主力が早々と戦線と離脱。CC・サバシアは膝の手術により前半戦で離脱し、マイケル・ピネダ投手も松ヤニを使った不正投球問題で出場停止となった後、広背筋の故障で戦列を離れた。イバン・ノバ投手も序盤に肘の靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)を実施。そしてメジャー1年目で早くもエース級の活躍を見せていた田中も7月に負傷が発覚し、約2か月半リハビリに。先発ローテを守り抜いたのが今季広島に復帰した黒田博樹ただ1人だったことを考えれば、危機的状況と言えるだろう。

昨季はダルビッシュも「先発6人制」を提言

 今季の先発陣には田中を含め故障明けの選手が多く、コンディションがピークではない序盤戦での酷使が故障再発につながる危険性も憂慮されている。

 メジャーでは投手がトミー・ジョン手術を行う事例が頻出しているため、米国内でも再発防止に向けての調査が進められていた。また昨季途中にはレンジャーズのダルビッシュ有が故障防止のために「先発6人制」を提言し、一石を投じていた。

「先発5人でシーズンを乗り越えられればそれはいいことだが、それができない可能性は少なくない。すべてのチームが5人先発で1年乗り切れるわけではないし、6人目のピッチャーとして誰が適任か見定めることはこちらとしては痛手ではない」

 ロスチャイルド氏はそう語っている。

 期間限定とはいえヤンキースの6人ローテ導入により、メジャー全体にこの流れが波及する可能性もある。