マクロミルは、この11月にオランダのマーケティングリサーチ会社、メトリックスラボを買収(完全子会社化)することによって、一足飛びでグローバルリサーチ企業への階段を上り始めた。マクロミル代表執行役で日本およびアジアでの事業を管掌する小西克己氏(写真)に、メトリックスラボ買収の意義と今後の展望について聞いた。

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 2014年4月に東証1部から投資ファンドによるTOBによって非公開化となったマーケティングリサーチ会社のマクロミルは、この11月にオランダのマーケティングリサーチ会社、メトリックスラボを買収(完全子会社化)することによって、一足飛びでグローバルリサーチ企業への階段を上り始めた。マクロミル代表執行役で日本およびアジアでの事業を管掌する小西克己氏(写真)に、メトリックスラボ買収の意義と今後の展望について聞いた。

――2014年11月にオランダのメトリックスラボ(MetrixLab)を完全子会社化し、かつ、メトリックスラボのCEOであるハン・デ・グルート氏をマクロミルの代表執行役グローバルCEOに迎えました。この狙いは?

 マーケティングリサーチのグローバル市場は約4兆円規模。うち、日本の市場は1800億円程度で横ばいです。この中で、マクロミルが得意とするオンラインリサーチは成長分野なのですが、伸び率は5%程度で、それほど大きな成長率ではありません。しかも、日本ではオンラインリサーチが先行し、現在リサーチ市場の45%をオンラインが占めますが、世界の平均は25%程度です。したがって、一段と成長を遂げるために海外事業の強化を模索していました。

 経営統合したメトリックスラボは、オランダのオンラインリサーチ会社ですが、オランダという国が欧州のハブ(結節点)のような役割を担っていることもあって、早くから国外展開をはじめた企業です。創業は1999年12月でマクロミル(2000年1月)と、ほぼ同時期ですが、マクロミルが日本と韓国、中国に展開するにとどまっているところ、メトリックスラボは欧米中心に10カ国に17拠点を展開し、リサーチ可能な国が50カ国以上におよぶグローバルカンパニーに成長しました。

 一方、マクロミルは、日本国内において調査協力者の集団であるパネルを運営し、システムも自社開発・運営、さらに、リサーチャーも社内に抱えてマーケティングリサーチについて自己完結できるサービス体系を整えています。このような全ての機能を揃えている調査会社は、世界的にも珍しい存在といえます。メトリックスラボがグローバルにオンラインリサーチに特化し、広く展開してきたことと比較すると、マクロミルは限られたエリアでソリューションラインナップを拡げ、深くサービスを提供してきたといえます。

 このように、メトリックスラボとマクロミルは、互いにオンラインリサーチを主要ソリューションとしながら、足りないところを補い合える良い関係にあります。グローバルな拠点では、メトリックスラボが進出していなかった日本、韓国についてマクロミルの拠点が使えます。また、マクロミルの総合的なリサーチ機能やノウハウをメトリックスラボは既存の海外拠点で応用・深化させていくことができるのです。

 メトリックスラボを統合したことによって、マクロミルはグローバルなマーケティングリサーチ会社として一気に体制を整えることができました。

――今後の世界戦略は?

 メトリックスラボを統合後も、調査拠点の空白地として残っているのが、主に東南アジアです。メトリックスラボは、インド(ハイデラバード)をオペレーション拠点として、シンガポールへの進出を元々計画していました。これから、グループで協力して東南アジア開拓を進めます。

 東南アジアでのリサーチ情報は、日本国内のクライアントの需要も大きく、これまで十分にニーズに応えることができなかった分野になります。メトリックスラボの海外展開力を活かして、スピーディーに拠点展開を行って、リサーチを開始したいと考えています。