ベガルタ仙台の監督を退任したグラハム・アーノルド氏 (写真:フォート・キシモト)

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4月9日、ベガルタ仙台の監督から退任が発表されたオーストラリア人、グラハム・アーノルド氏。リーグ戦6戦、およびカップ戦も含め8戦未勝利という成績不振が続いていたのが大きな理由と思われるが、彼の地元オーストラリアのメディアが、アーノルド氏解任の裏側で起きていたチームの内情や、解任に至るまでの経緯を書き立てており、日本国内でも話題となっている。

昨年まで監督を務めていた手倉森誠氏が、リオデジャネイロ五輪U-21日本代表監督に就任したことを期に招聘されたのがアーノルド氏だ。

記事では、具体的な名前は控えているものの、今期の不振にも繋がっていると思われる今オフの“補強の失敗”について、国内移籍に関してはクラブに20年以上在籍しているスポーツ・ディレクターが掌握していたことを挙げ、オフシーズン中に彼が「移籍可能な日本人選手がいない」と早々に補強を打ち切ったと主張している。

その一方で正ゴールキーパーの林卓人の放出にも、そのディレクターが関与していることなどを指摘。そのためチームは経験のあるゴールキーパーを欠いた形でシーズンに突入した。

またオフシーズンに獲得した選手が、想定されたポジションをこなすことが出来ない事態も多発。国内にスカウトがいないため、前監督自ら衛星放送でJ2の有力なプレイヤーを探していた驚愕の“内情”も暴露した。

さらに大きな問題として指摘されているのが、チーム編成だ。30代以上のベテラン選手がレギュラーの大半を占め、彼らに極めて高額な年棒が支払われていたという台所事情に加え、実際6年間チームを率いた手倉森氏のロングボール主体のプレイスタイルから、ショートパスや素早いプレッシングを軸としたサッカーへの戦術変更もベテラン勢が変化に適応できずに、大きな反発を招いた理由としている。

また、記事では、チームを率いることになった渡辺晋新監督(当時はコーチ)も批判対象に挙げられている。筆者は、彼のアーノルド前監督への援助が殆どなかったことや、ベテラン選手と結託することで、早々とアーノルド氏の失脚を計画していたと陰謀論とも取れる主張も展開……。

これが事実なら、高額なベテランを放出するよう説得していた前監督にとって、チーム内での孤立がかなり深刻だったことは伺える。

そして退任の最も大きな理由となったとしているのが、選手のモチベーションの問題だ。4月6日の浦和戦に0-4で惨敗した後の移動中のバスでも、選手たちが冗談を飛ばすなど、全く緊張感のない状況を目にしたことや、スカウトに加え、アーノルド氏が招聘するまでフィジカルコーチが不在だったことなど、記事内では仙台の厳しい状況が綴られている。

アーノルド氏の本国オーストラリアのメディア発ということもあり、かなり氏へ同情的なこの記事。真偽の程はいかに?

(参照:Arnie was on a hiding to nothingArnold sets the record straight