動画:米海軍、電磁レールガンの艦載発射試験を発表。2016年度に統合高速輸送艦に搭載

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フィクションの小道具だと思っていたらいつの間にかただの現実になっていた系の話題。米海軍は、かねてより開発中のプロトタイプ電磁レールガンを2016年度にも実際の艦艇JHSVに搭載し試験することを明らかにしました。

いちおう説明すると、電磁レールガン(Electro-Magnetic Railgun)は、火薬のかわりに電磁力(ローレンツ力)で弾体を加速する装置。火薬の爆発すなわち化学反応による体積増加の限界を超えた加速が可能になるため、十分な電力さえあれば、数百年来の歴史を持つ「大砲」を大幅に凌ぐ初速と射程距離が得られます (この項使い回し)。複雑で高価なミサイルに比べて戦闘ごとのコストが低いこと、従来型の砲と比べて火薬を大量に積まずにすむことなどが利点。

米海軍は以前からレールガンの実証実験を続けており、昨年にはコンペを勝ち抜いた英国のBAE Systemsに対して将来の実用化に向けたフェイズ2プロトタイプの開発を発注していました。

今回の発表は、これまで地上での試験に留まっていたこのプロトタイプを、実際の艦艇に搭載してより実戦に近い環境での発射試験を実施する内容です。選ばれたのは、米海軍と陸軍で同じ設計を共用する統合高速輸送艦 JHSV。ただし JHSV は搭載スペースに余裕があることから選ばれたのみで、「レールガンで武装した輸送艦」を試験するわけではありません。

プロトタイプ電磁レールガンを開発する BAE Systems によれば、開発目標は弾体の初速マッハ7.5、射程370kmなど。BAEは米海軍から、レールガンではない通常の艦載砲と弾体を共通化する計画についても契約を獲得しています。