新たな一歩は、試練の一歩だった。

新生なでしこJAPANが、“戦力の底上げ”を掲げて臨んだアルガルベ杯(ポルトガル)。メンバーは中堅と若手が主体で去年のように優勝を争うことは難しかったとはいえ、グループリーグで1勝2敗、最終日の順位決定戦でなんとか中国に勝っての5位という結果は、予想を超える低調ぶりだ。惨敗の要因はどこにあったのか。通信社サッカー担当記者のA氏は、大会初戦のノルウェー戦について、佐々木則夫監督の“采配ミス”を指摘する。

「あの試合ではボランチやセンターバックを本職とする川村優理を右DFに起用し、逆にサイドのMFやDFが持ち場の山崎円美(まるみ)をボランチに回した。それじゃあ、使われたほうも持ち味を出せないよ。結局、ふたりは不慣れなことをやらされたあげく、自信を喪失しただけ。見ていてかわいそうだったね」

この意見に同意するのが、サッカー専門誌編集者のC氏だ。

「佐々木監督って、実は策に溺れるところがけっこうある。大会初戦の入り方を誤りましたね。相手のノルウェーを甘く見すぎたのか、代表歴のない、あるいは少ない選手を8人も先発させ、0−2で完敗した」

一般紙なでしこ番記者のB氏は、佐々木監督の戦略に狂いが生じたと分析する。

「監督はノルウェー戦と3戦目のデンマーク戦で新入りを試し、2戦目のドイツ戦と最終日の順位決定戦でガチンコのメンバーを組む予定だったはず。だけど、初戦は悪くても引き分けという計算が狂い、グループ最下位を免(まぬが)れるため、デンマーク戦はベスト布陣で臨まざるを得なくなった。おかげで、中国戦での選手起用はどっちつかずでチグハグなものに。結局、経験の浅い中堅や若手にできるだけプレー機会を与えるという、今大会最大の目標は十分達成できずに終わってしまった」

結果も内容も期待はずれだった新生なでしこJAPAN。目標とする2015年カナダ女子W杯での連覇を果たすためには、佐々木監督の的確な采配は欠かせない。6月に行なわれる親善試合3連戦までに、司令官には勝負勘を取り戻してほしいものだ。

■週刊プレイボーイ13号「新生なでしこJAPANのヤバすぎる内情!」より