■天皇杯2回戦前日に契約更新要請

仙台は第28節C大阪戦でJ1残留を決め、10月8日に行われた天皇杯2回戦ソニー仙台戦を前にした10月7日、手倉森誠監督は株式会社ベガルタ仙台白幡洋一社長から、契約更新要請を受けた。

リーグ戦6試合を残した状態でJ1残留を決め、今シーズンノルマとして掲げた勝ち点50は達成濃厚(15日福岡戦の勝利でこのノルマは達成した)となり、監督続投を手倉森監督に要請したようだ。

手倉森監督は公式に「ありがたい申し出であり前向きに検討する」とのコメントを残している。ただ、手倉森監督はすぐに受諾はしなかった。ソニー仙台戦後のオフ明け11日の練習後「続投要請をもらったけれど、ノルマ的なところでは勝ち点50がまだ取れていない中なので、すぐ返事はできない」と手倉森監督は理由を説明した。

しかし、来シーズンへの構想は既に頭にあるようだ。「強化部とはいろんな話をしていきたい。ヴィジョンは自分の頭の中にある。仙台はビッグクラブになれる要素はある。足りない物は整備しないといけない。それは環境と育成。要求を高めていきたい」と、フロントへの要求事項を明かした。

■練習場環境のさらなる整備を求める

仙台は今シーズン、震災前から大きなビハインドを背負っていた。昨年の猛暑により、練習場である泉サッカー場の芝が傷み、昨年秋から今年の6月中旬にかけて、泉サッカー場を練習場として使用することができなかった。その間主要な練習場として、泉サッカー場に隣接するクラブハウスから車で約40分程度離れた宮城県黒川郡大和町のダイナヒルズ多目的広場を使用してきた。夏芝が多く、周囲の練習場の中では比較的状態が良い方なのだが、下の地盤が凸凹しており、イレギュラーをしたり選手が思わぬ所でつまづき、ケガのリスクがあった。

また、このグラウンドにはシャワー設備がない。選手達は練習が終わると、各々の車や、チームが用意したバス(震災後はガソリン節約などの理由で多くの選手がバス移動した)で40分以上の時間をかけて、クラブハウスに移動してやっとシャワーを浴びられるという状況だった。雨の日の練習は必然的に辛いものになり、体調を崩すリスクも大きかった。

6月以降泉サッカー場が使えるようになったが、今年も猛暑で芝の傷みがあり、9月中旬から下旬にかけて再び芝の養生で使用不可となる期間があり、何日かダイナヒルズでの練習を余儀なくされた。この間梁勇基が練習中につまずいて足の痛みを訴え、あわや欠場かと心配されたこともあった(幸い大事には至らず、その後の試合には出場できた)。

そして今月も12日の練習から、芝への種蒔きを理由に泉サッカー場が使用できなくなる予定だった。クラブスタッフの粘り強い交渉により、12〜14日の練習は泉サッカー場を使用できることになったが、16日現在18〜21日の練習会場は未定となっている。

手倉森監督は「昨年も練習場の件を訴えると、スポンサーからは『言い訳か?』と言われたが、今年は勝って見せている。どんな所でもやる覚悟を持っているチームだと気づけてもらえたと思う。みんなポジティブに考えて、『この環境でもたくましくやろう』と選手には言った」と、環境を言い訳にしないためにここまでポジティブに戦ってきたことを訴えた。

その上で「環境をフロントが良くしてくれると信じるしかない。それをやってもらうために残り試合に集中したい。より高みに行くために、より高い要求をしたい」と、練習環境改善を強く訴えるためにも、残り試合全力で戦う決意を語った。この現場の頑張りにぜひフロントも応えてもらい、練習環境の改善を何らかの形で図っていく必要があるだろう。将来的には自前の練習場を持つことができればベストだろう。