2011年7月23日夜、中国新幹線・和諧号が、淅江省温州市で追突事故を起こし、多数の死傷者が出ました。筆者は、その日の昼、和諧号で広州から深センまで乗車し、翌日も帰りの和諧号に乗車していました。今回の事故は、香港でも大々的に報道されていたことから、翌日の朝刊で状況を知ることになりました。そこで、2回に分けて中国新幹線・和諧号について紹介する現場体験記、今回はその2です。

3.和諧号の特許問題

 2008年の北京オリンピック前、筆者は、川崎重工業が技術供与していたCRH2型に関して、日本側関連企業の関係業者と話をしたことがあります。

筆者:「中国新幹線はどうみても日本の新幹線「はやて」のパクリではないですか? 川崎重工業やJR東日本は、特許申請をしたり、抗議をしたりして日本の技術に基づく開発だと中国側に認めさせたほうが良いのではないですか? いくら何でも「独自開発」ではないでしょう」

関係業者:「日本の技術に基づく開発などとは認めさせないほうが良いのですよ」

筆者:「なぜですか?」

関係業者:「表面上は「はやて」に似せてありますが、開発の仕方や安全確認が無茶苦茶です。我々は何度も何度も安全確認をして万全を期すようにしますが、彼らは違います。結果を出そうと急ぎすぎです」

筆者:「でも放っておくと真似をされ放題では?」

関係業者:「放っておけば良いのですよ。中国新幹線は今後大きな事故を起こすことになると思います。そのとき日本の技術に基づく開発だということを認めさせてしまっていると、彼らは日本に責任転嫁をしてきかねませんから」

 末筆とはなりましたが、中国に多くの友人を持ち、中国で多くのことを学んだ身としては、関係業者との会話が現実の事となってしまい、大変残念に思います。被害者の皆様や

 ご遺族の方に衷心よりお悔やみ申し上げます。(執筆者:奥北秀嗣 提供:中国ビジネスヘッドライン)