相手の傾向がわかれば対策ができる!

かの野村克也氏は、打者をいくつかのタイプに分類してリードをするそうです。【A型】=特にヤマは張らず、直球を待ちつつ変化球にも対応して「来た球」を打つタイプ。【B型】=内か外かコースを限定して待つタイプ。【C型】=引っ張るかおっつけるか打球方向を限定して待つタイプ。【D型】=直球か変化球か球種を限定して待つタイプ。このような相手の傾向を見て、リードを組み立てるらしいのです。

逆に、現楽天ヘッド&1軍打撃コーチの田淵氏は捕手をいくつかのタイプに分類して、打撃時の参考にしています。【血液型がA型】=3球連続で同じコースには要求してこない。【血液型がB型かO型】=A型にはないねちっこい攻め方をしてくる。田淵氏はこの血液型分類をあらゆる局面に応用し、選手の起用法から作戦決定にまで活かしているのだとか。ダイエー監督時代、阪神打撃コーチ時代、北京五輪日本代表ヘッドコーチ時代の数々の栄光もこうして築き上げたものなのです。決して野村氏の分類を中途半端に聞きかじって、間違ったままコピーしたわけではないのです。

これはほかの競技にも応用できるのでは。

例えばサッカーのPK戦。キッカーの性格がわかればグッと有利になるでしょう。「コイツは端っこ狙いで強く蹴ってくる」「コイツはGKが動くのを待って逆に蹴る」「コイツは右か左かを先に決めて蹴ってくる」など、相手の傾向によって対応を変えればセーブする確率もグッと上がるというもの。

相手の性格・傾向を知らずに自分のすることだけを考えるのは、河を見ないで麻雀を打つようなもの。河から得られる情報は、ときに自分の手以上に大きな気づきを与えてくれるというのに。競技でも「自分の手=自分の技術」だけを見ていればいいというものではありません。相手をよく見て「何だこの血液型分析」「コレがヘッド&打撃コーチかよ」「この球団は安牌」と分析できれば、勝利はもう目の前ですよね。

ということで、相手を分析すればよりプレーが簡単になることを、サッカーのGKの動きから考えていきましょう。



◆野球同様、サッカーでもコースにヤマを張る動物的な選手はいる!


僕も試合観戦の際は、個人的な分類で選手を分析しています。全競技をまたがって、大きく大きくざっくりとわけるなら2タイプ。【アホ型】=何かやらかす。【アホじゃない型】=特に何もやらかさない。この分類を事前にしておくことで、誰がボールを持っているときはゆっくり弁当を食べても大丈夫で、誰がボールを持っているときは危険であるかがわかるのです。

こんな感じでサッカーのGKを個人的に分類していくと、タイプはおおまかに3つ。

まず一番油断して大丈夫なのが、【待ち型】=ギリギリまで相手の動きを待って反応するタイプ。このタイプは派手さはないものの堅実なプレーでゴールを守るため、むしろキッカー側が勝手に外すパターンのシュールな笑いを演出。GKよりキッカーを見るべきタイプです。性格的にも落ち着いた大人が多いので、私生活についても特にマークする必要はないでしょう。実際の試合で出会った際は、落ち着いていいシュートを撃てばOK。入るときは入るし、入らないときは入りません。

安定して面白い感じになるのが、【攻め型】=とにかくボールに向かって接近し、相手が何かする前に止めるタイプ。飛び出してかわされたり、飛び出して浮かされたり、届かないところまで飛び出して何かやらかすことが多く「何勝手に飛び出してんねん」という周囲のシラけた視線が突き刺さること多数。私生活でもヘンな場所に突撃して、写真週刊誌に撮られたりするような、「セメテル!」人材が多いタイプです。実際の試合で出会った際は、微妙なところにボールを転がして、ハムスターのように突進してくるGK氏をかわいがってあげるとよいでしょう。

↓先日の清水エスパルスVSヴィッセル神戸戦では、【攻め型】による小珍事発生!



CKになるのを嫌がってトンデモないところまで飛び出した清水GK・山本が、大久保さんにナイスパス!

無人のゴールに転がして大久保さん先制点!





のちにGK山本さんは自身のブログで「外に出しておくべきだった」と反省しますが、これはもう性格的な部分の影響もあるので仕方ありません。蹴る時点で「外に出そう」と思ってもミスキックは当然あるでしょうし、「CKになってもいいや。外に出しておこう」と思っても、実際には身体が反応して突っ込んでしまうはず。ある程度の諦めが必要だと思います。

そして、まさかの展開を生むのが【読み型】=相手が何をしてくるかを予想して、その予想に殉じるタイプ。野球でも「ここでフォークがきたら三振で構わない」と読みに徹するタイプがいますが、それをGKでやってしまう御仁。どんな強打者でも6割はミスする野球と、ひとつのミスも許されないGK。置かれた環境は天地の違いがありますが、やっちまったものは仕方ありません。

どこかの国で行なわれたとある試合。白チームが攻撃を仕掛け、右サイドからエリア内にドリブルで侵入。赤チームの読み型GK氏は、この状況を瞬時に判断。「相手と1対1」「しかし中央には敵チームの選手が走りこんできている」「シュートか?パスか?」という検討の末、「パスだな、うん!」と読みを一本化。パス1本に絞って守備にのぞんだのです。

↓「シュートはない!パスだ!」と決め打ちでコースを切る【読み型】のGK!


決め打ちするにしても、シュートに絞れよwww

相手も逆にビックリして外しちゃっただろwww





この調子で読みを外してくれれば、FKからのシュートに対して、まったく反対方向に飛ぶシュールな絵なども見られそう。CKの場面で、「これ中央のノッポに合わせてくるでしょ」と決め打ちし、ショートコーナーでチョコチョコやっているときに大ジャンプしている姿など、愉快な場面が想像できますね。ぜひ日本でも愉快な【読み型】GKの誕生に期待したいものです。実際の試合で出会った際、このタイプに対策するのは難しいですが、何となく対策しなくても大丈夫な気がするあたりも好印象ですよね。


あと、【自分のゴールに手で投げ入れる型】もいますが、これは対策不能です!