【セルジオ越後コラム】ナビスコ一社に頼っている現状は良くない

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ナビスコカップ決勝が毎年恒例、文化の日に行われ、磐田が広島との延長戦を制して優勝した。対戦カード、試合内容も含め、実にナビスコカップらしい試合だったと思う。気持ちのこもった乱打戦は両チームのサポーターを大いに楽しませたし、面白い試合だっただけに、隣の神宮球場で行われた大学生の野球に注目度で大きく負けたのは残念だね。
 
一方で、見逃せない問題もある。予選リーグでの観客動員が振るわなかったり、代表活動との重複、過密スケジュールなどで、毎度その存在意義について議論されるカップ戦ではあるけど、決勝戦だけは異様な盛り上がりを見せ、好ゲームが行われる。つまり決勝ワンポイントで見ればポジティブな評価になるが、全体を見れば問題点は多々ある。決勝戦で帳尻を合わせているという感じは否めないね。
 
これが毎年繰り返されているわけだけど、根本的な部分が改善されなければ、このカップ戦が未来永劫、価値ある大会としてやっていけるか、非常に疑問が残る。現在は、ナビスコ社が赤字を省みずになんとかやっている状態だ。決勝戦でぎりぎりメンツを保ててはいるが、一つのスポンサーにおんぶに抱っこの状態は好ましくない。かつてのサントリーシリーズ、ニコスシリーズ、そして最近のJOMOオールスターを思い出さずにはいられないね。ナビスコ社がやらないと言ったら終わってしまう可能性をいつでもはらんでいるんだ。
 
他の問題においても度々指摘していることではあるが、やはりもっとJリーグとしての工夫、ブランディングが必要だと感じる。
Jリーグはスタート当初、地域密着のクラブチームによるプロリーグという形式を掲げ、「百年構想」の理念の下に邁進していくと宣言していた。その心意気は素晴らしいと思う。ところがJ発足17年が経った今、その現状はどうであろうか。地域に根ざした、真に安定したプロリーグとなっているだろうか。
  
僕の目にはどうも現状維持に腐心しているように映る。体だけ大きくなりすぎて、逆に小さくまとまってしまった感じだ。狭い世界で天下りが横行し、任期をまっとうするだけのチェアマン人事を繰り返す中で、新しい発想がなくなっている気がするのだ。
  
こういう話題になるといつも概念的な話になってしまうのだけれど、Jリーグのトップに立つ人たちが、このリーグをどうしたいか、この国のサッカーをどうしていきたいか、百年先のスポーツ文化のためにどうするべきなのか。それこそ概念を変えて取り組んでもらわないと、ナビスコカップはおろか、Jリーグの未来も危ういよ。大げさではなくそう思う。(了)