肥留間正明の芸能斜め斬り 時代の空気読めない24時間テレビ
日本最大の〈募金番組〉が始まる。今年で32回目を迎える日本テレビの「24時間テレビ32 愛は地球を救う」が、29〜30日に放送される。
この番組に対して「チャリティー番組」という言い方があるが、チャリティーとは慈善、慈善事業(広辞苑より)という広範囲な意味である。女子高校生がお金を持って駆けつけるシーンが多かった過去を振り返ると、「募金番組」と呼んだほうがふさわしい。確か昨年は24時間で3億6000万円以上集め、過去には1日で6億円以上を集めたこともあるこのパワーはすごい。
恒例のマラソンランナーを務めるのは、“珍獣ハンター”の異名を持つお笑いタレントのイモトアヤコ(23)。女子では過去最長距離の約126キロに挑戦する。過去にはマラソンをカットした疑惑があるだけに果たして無謀な感動が実現するのか興味がある。
この番組は、「感動」を呼ぶ演出をこれでもかと随所に盛り込んでくる。昨年の「SPEED」は、再結成を理由づける“営業”の下心が見え見えだった。今井絵理子の息子が聴覚障害のため「子供に歌声を届けたいために武道館で再結成を果たした」というのだが、少し無理がある。何千万人という視聴者が見ている中で、わが子のためにだけ歌う、いや歌わせるという演出はいただけない。また復帰劇に障害のある子どもを利用する手段には、誰もが違和感を持つ。再結成して歌った結果、息子さんがその後どうなったのか、今年は報告だけはすべきだろう。今井の元夫のSHOGOは、「息子の意思ではない」というコメントを出したという。
この手の番組出演者には、どんな背景があろうとタレントに出演料などの多額の制作費が流れている。本来のボランティアには、ギャラなど発生しない。むしろ持ち出しだ。日ごろから障害者へのボランティア活動を続けているタレントなら話はわかるが、この番組のために「にわかボランティア」を平然と演じる姿に真の感動はない。仕掛けや演出を間違えると完全に逆効果だろう。
多額の制作費を投入する「24時間テレビ」は、32年を経過してもう時代にそぐわない番組になってきた。市場原理主義の行き過ぎで、若者と中高年は仕事を失い、農村の過疎化は進み、地方の繁華街はシャッターが下りている。募金どころではないほど、世の中は困窮している。その世相を背景に、収入の多いタレントが募金を訴えても説得力がない。
さて「24時間テレビ」、今年はどう変わったのかじっくりと拝見しよう。
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