ソウル北方の南北軍事境界線に近い京畿道・坡州の烏頭山統一展望台を訪れた人々が北朝鮮側の景色を眺めている=3日、坡州(聯合ニュース)
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【ソウル聯合ニュース】4月27日の南北首脳会談が成功裏に行われたことで、江原道や京畿道の北部など韓国国内の北朝鮮に近い地域に対する国内外旅行客の関心が高まっている。両自治体や韓国観光公社は需要を取りこぼすまいと、これら地域の旅行商品の開発とPRに力を入れている。

 南北軍事境界線を挟む非武装地帯(DMZ)の観光商品を販売する旅行会社の代表は7日、「首脳会談以降、ツアーの問い合わせがここ数年間の同時期に比べて1.5倍ほどに増えた」と伝えた。

 首脳会談以降、北朝鮮が韓国に侵攻する目的で掘った京畿道の第3トンネルと都羅山展望台、江原道の第2トンネルと展望台、かつて北へとつながっていた京元線の駅・月井里駅(廃駅)などは、国内外の観光客で連日ごった返しているという。

 ただ、団体旅行客は数カ月前に予約した人が訪れるため、旅行業界が本格的に「南北首脳会談特需」を享受するのは数カ月後になるとみられる。

 同代表は「南北首脳間の合意が履行に向かい、平和ムードが高まり、さらに北米(米朝)首脳会談までが(軍事境界線がある)板門店で開かれれば、この地域への観光客は一層増えるだろう」と期待をにじませた。

 DMZなどの観光活性化に向け、当局と自治体も奔走している。韓国観光公社はすでに、南北首脳会談の開催が決まった3月末、観光開発チームに「南北観光タスクフォース(TF)」を設置した。公社の関係者は「南北関係が改善しているだけに、急速な環境変化に対応するためTFを置いた。文化体育観光部などと協議し、政府の決定を速やかに事業に反映したい」と話している。

 同公社は、江原道北部の自治体が運営するDMZ観光商品のPRにも力を入れ、観光客を呼び込む考えだ。

 江原道と京畿道もそれぞれ観光インフラの整備と事業誘致に取り組む。京畿道は同道と江原道の北部の「統一経済特区」指定などに向けた実務推進団を設置する方針。江原道は2008年に中断された北朝鮮南東部の景勝地・金剛山観光の再開などを推進する予定だ。