マーベルと“1分”で大型契約結んだ日本人社長

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映画やテレビドラマ、アニメなどでおなじみの「プロダクト・プレイスメント」(※劇中にスポンサー企業の商品や会社名をさりげなく登場させ、観客や視聴者に宣伝する広告手法。以下「PP」)。3月に公開されたマーベル映画「ブラックパンサー」にも主人公の専用車として「レクサスLC500」(トヨタ)が登場しているが、あれも「PP」だ。トヨタから映画会社には“大金”が支払われたのは当然だが、そうは言っても「PP」の実情はなかなか見えてこないもの。そこで今回、「ブラックパンサー」と同じマーベル作品の「アベンジャーズ」(2012年)で「PP」契約を結んだ日本の医療機器メーカー、コラントッテの社長に話を伺うことにした。

――御社は映画「アベンジャーズ」とタイアップされ、アイアンマンのトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)が身につけるブレスレットを提供しています。契約に至った経緯を教えていただけますか?

小松克巳社長(以下 小松):マーベルとの契約のお話をする前に弊社の歴史を簡単に紹介させてください。実はアメリカには(マーベルとの)契約前から進出していまして、アメリカのゴルフ商品の展示会などにも出展したりしていたんです。それで、ブッチ・ハーモンさんやデビッド・レッドベターさんというゴルフ界の2大コーチと同時契約したんです。そのことが世界に進出するきっかけになっています。そうした背景があったのですが、突然、当時マーベルの副社長であったボブが訪ねてきたんですよ。来る前から契約の話は大体聞いていたんですけど、「アイアンマン」は知っていたんですが、「アベンジャーズ」というのはまったくわからない状況で、「ヒーローが集まる」と言われてもピンと来なくて。「契約金はいくらです」とごっつい金額を提示されたんですが、ちょうどその時は「CO」というウチのロゴを作ったときで、「これはチャンスやないか」と思って1分で決めました。

――1分!? 

小松:そう。彼らが来て、話聞いて、「面白そうやな」って思って。1分でやると決めたんですけど、同時に我々の要求を羅列して伝えたんです。それでいろいろなことを考えるじゃないですか? 「劇中に商品を出してほしい」とか。映画を観てもらえばわかりますが、うちのビルも出ているじゃないですか。あれもパースを描かせて「こんなロゴをつけてほしい」と要望を述べたりしたんです。それであれこれ述べている内に言うことがなくなってきて。最後は「俺も出して」って(笑)。ほんなら通ったんです。

――確かに映画では小松さんだけでなく、ご家族(奥様&娘さん)も「アベンジャーズ」に出演(敵が地球に侵略してきたときに、逃げ惑う市民の役。予告編動画を参照 https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=Z4I4iu4fdP8 の1:34あたり)されていましたね。

小松:契約後、ニューメキシコでスポンサー企業集めのイベントがあったんですが、我々もそれに参加していて。ヨーロッパで映画館を運営している企業とか、アメリカの大手飲料メーカーとかも参加していたんですけど、ウチらはもう契約が決まっていたので、別件の話があったんです。それが「アベンジャーズ」のゲームのスポンサーで。これもごっつい金額だったんですけど、ちょうど僕の娘が翌日誕生日だったので、「僕だけじゃなく娘も映画に出してくれへんか?」って言ってみたんです。そうしたらマーベル側は「ぜんぜんOKですよ!」と快く受け入れてくれて。それで「でもうち3人家族やねん。奥さんどうなるの?」と聞いたら、「当然3人でしょう!」って(笑)。その日はすごく天気が良くて、娘の誕生日プレゼントも決まったので、「じゃあ(ゲームの契約も)するよ」って。そうしたら場が「ワー!」と盛り上がって、ボブは僕のことを「ブラザー」と呼ぶようになって(笑)。ボブとは今でも食事に行ったりする仲が続いてますね。