金融ブローカーが独占証言 裏社会と仮想通貨「資金洗浄・相場操作」(1)“ご本尊”と“提灯”を利用して

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 約580億円の資金流出で騒動となっている「仮想通貨」。しかし、その裏で裏社会がいち早く目をつけボロ儲けしていたというのだ。その実態を知るアジアを股にかけ活動している金融ブローカーが今、闇に包まれたベールの内側を初めて告白する。

「仮想通貨と裏社会の関係だって? お金が儲かる話があれば飛びつくのはビジネスマンも組関係も同じですよ。私の中では重要な顧客の人たちであることは変わりない。正直、私自身もいくらの金額を預かっているのかは定かではないけど、億単位であることは間違いないでしょうね」

 絶対匿名を条件にこう明かすのは、アジアを拠点に飛び回っている国際金融ブローカーのX氏だ。現在50代のX氏は、富裕層向けの投資アドバイスや金融資産の運用など、数百億円を動かすアドバイザーとして長年にわたって金融の世界で暗躍してきた人物である。X氏によれば、現在、数十億円に上るヤクザマネーが仮想通貨に投資されているというのだが、

「今の時代は暴対法の影響があって、かつてのように組長クラスのヤクザと直にやり取りをするケースはまったくなくなりました。第三者の別のブローカーを通じて資産運用を任され、『○○さんからも預かっています』と説明を受けるだけ。最終的な運用金額はわかりますが、その内訳は私自身も把握していません。カタギもヤクザもお金には色がありませんし、私自身はまとまったお金を預かって、さまざまな投資先で運用するのが仕事ですから。かつては広域組織の幹部から札束を持ち込まれて『これを10倍にしてくれ』と迫られたことがありましたよ(笑)。それはさすがに丁重にお断りしましたが、今のヤクザは資金運用すらままならないほど当局の監視が厳しい環境にいるだけに、仮想通貨に目をつけるのは時間の問題でしたね」

 80年代のバブル経済でデビューしたX氏は、仕手筋の株価操縦を間近に見てそのノウハウを応用。未公開株の売買など、金融の盲点を逆手に取り、多額の利益を上げてきた。そのパートナーとも言える存在が、かつてはヤクザだったというのだ。

「特に80年代の日本の市場の監視体制はザルでしたから、資金力があれば相場操作はお手のものでした。仕手筋の仕組みはシンプルです。“ご本尊”と呼ばれる仕手の中心人物が、特定の企業に目をつけ、数人から数十人のグループで買い付けをします。相場が上昇してくると、その噂を聞きつけた“提灯”と呼ばれる一般の投資家グループが殺到します。その段階で大量の売りを浴びせて暴落させるのです。そうすることで、仕手グループは利益を得ますが、一般の投資家は高値づかみをして大損します。実は、こうした仕組みは今の仮想通貨の世界でも日常的に繰り広げられています」

 ヤクザマネーもまた「仮想通貨市場」の盲点を突いて、大儲けしているというのだ。