2018年平昌冬季五輪を控え、インタビューに応じる五輪組織委員会(POCOG)の李熙範会長(2017年10月27日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】2018年に韓国で開催される平昌冬季五輪の開幕が近づくなか、同国五輪組織委員会(POCOG)の李熙範(Hee-Beom Lee、イ・ヒボム)会長は、核開発を進める北朝鮮から攻撃を受ける可能性があるとの懸念を「大げさ」だと一蹴している。

 今年9月に過去最大規模となる6回目の核実験を行った北朝鮮は、日本上空を通過するミサイルを太平洋に飛ばす一方で、米政府と舌戦を繰り広げて戦争も辞さない構えをみせている。

 朝鮮半島を分断する軍事境界線から80キロメートルしか離れていない平昌(Pyeongchang)で、来年2月に冬季五輪が開催されることについては、いくつかの国から不安の声が上がっている。しかし、李会長はAFPの取材に対して、平昌が攻撃されるかもしれないと心配するのは大げさだと強調し、緊急時の対応策は準備しているとはいえ、それが必要になることはあり得ないと語った。

「朝鮮半島が分断されたのは最近の話ではない。1945年から分かれている」と話した李会長は、これまで韓国では「非常に安全かつ厳重な警備体制が敷かれたスポーツ大会」が開催されていると強調。「平昌も例外ではない」とした上で、攻撃を恐れる声について「少々大げさだ」と主張した。

 フランスをはじめ、ドイツ、オーストリアが大会期間中の選手の安全確保に懸念を示し、英国が緊急時の避難計画を立案するなか、国際オリンピック委員会(IOC)は10月に行われた五輪サミットで「全面的な支援」を約束し、大会中止や開催地変更の可能性があるとの臆測を鎮める動きに出ている。

■ワイルドカード(特別参加枠)

 韓国では1988年にソウル五輪が行われ、2002年には同国延坪島(Yeonpyeong Island)で南北海軍による軍事衝突が発生しながらも、サッカーW杯日韓大会を無事に開催。今月行われた国連(UN)総会では、「五輪停戦」の決議案が採択された。

 北朝鮮政府は核や弾道ミサイルの実験を繰り返して国連安全保障理事会の制裁決議に反発してきたが、李会長は今回の状況とは「まったく違う」という認識を示しており、「北朝鮮の決議違反は特定国を対象にするものだったが、今回何かを起こせば、それは世界中を敵に回すことになる」と述べた。

 李会長は今回の取材を終えてギリシャへ向かい、オリンピア(Olympia)のヘラ(Hera)神殿で行われた採火式で太陽光によって点火された聖火を受け取った。聖火は平昌五輪の開幕式まで100日となった今月1日に韓国に到着し、北朝鮮および非武装地帯(DMZ)に位置する板門店(Panmunjom)を避ける形で、2018キロメートルにわたるリレーが開始された。

 風力発電遅滞が点在する人里離れた平昌で行われる冬季五輪に、北朝鮮が参加する可能性は現在も不透明な状況となっている。同国は1988年のソウル五輪をボイコットしており、政府としても最終決断には至っていない。

 平昌五輪の出場権を獲得した北朝鮮の選手は、これまでフィギュアスケートのペア2人のみとなっており、来年1月までにクロスカントリースキーとスピードスケートのショートトラックの選手が予選に臨むことになっているが、出場権を手にする可能性は低いとみられる。

 李会長によれば、こうした状況を受けてIOCでは、各国際競技連盟(IFs)と協議を行い、北朝鮮がワイルドカード(特別参加枠)で大会に参加できるようにしていくとみられている。

■伸び悩むチケット販売への救済措置

 北朝鮮が参加すれば大会の安全と安全保障につながるものの、同国政府が決断を下すのは直前になると予想している李会長は、「平和を尊重する者であるならば、五輪に参加すべきであり、参加することは可能である。北朝鮮もその例外ではない」と述べた。

 同会長はまた、このまま国内のチケット販売が伸び悩んだ場合、韓国教育部が生徒や教育者用に20万枚を買い上げるのをはじめ、各地方自治体が12万枚、そして同国銀行連合会に加入する22の銀行が4万枚を購入し、会場を埋めることに合意していると明かした。

 平昌五輪では118万枚のチケットが準備されており、これまで海外での販売数は18万枚となっている。韓国では冬季スポーツの人気が欧州や米国と比べてはるかに劣っているなか、国内での観客動員数が大会を大きく左右するとみられる。

 大会最大の目玉であるアイスホッケー決勝や、韓国でも人気が高いショートトラック、スピードスケート、そしてフィギュアスケートなどの国内セールスは好調である一方で、リュージュやクロスカントリーなどの種目は売れ行きが悪く、空席だらけの会場の様子が世界中に露呈してしまうという懸念が浮上している。

 李会長が「人気スポーツと、そうでないスポーツの需要の差が激しい」という認識を示している韓国国内では、これまでのところチケット販売数が16万枚程度にとどまっており、売り上げ率として週3000枚で計算すると、割り当て分が売り切れるまで4年の歳月を要してしまう計算になる。

 しかし、李会長は「計算の問題ではない」として、韓国国民が「出足の遅い消費者」であることから、大会直前には駆け込み需要が期待できるという見解を示している。仮にそうでなかった場合でも当局が介入するとして、「スタジアムが満杯になることを確信している」と述べた。
【翻訳編集】AFPBB News