設楽悠太のツイッター(画像は、スクリーンショット)

写真拡大

男子マラソンの設楽悠太(25=ホンダ)はベルリン・マラソンで、序盤から2時間5分台のハイペースで黒人選手らに食らい付いた。だが25キロあたりを過ぎると、みるみるうちに失速。前半から積極的に飛ばしていくのが持ち味だが、東京マラソン時と同様、終盤のスタミナ不足に苦しめられた結果になった。

世界トップクラスと互角に戦うためには、「30キロ」の壁をどう乗り越えるか、が今後の課題だ。

リオ金のキプチョゲが、2時間3分台で優勝した

設楽は2017年9月24日のベルリン・マラソンで、序盤から積極的に飛ばした。5キロを14分51秒、10キロを29分47秒、15キロを44分41秒、20キロを59分40秒...。5キロ14分50秒〜15分のペースを保ち、第2集団から先頭集団を追いかけた。20キロ通過時点で、予想フィニッシュタイムは2時間5分54秒。高岡寿成氏が2002年に同大会で樹立した男子マラソンの日本記録2時間6分16秒の更新も視界に捉えていた。

だが25キロまでに、第2集団から取り残されてしまう。25キロの通過タイムは、1時間14分44秒。20〜25キロのラップタイムが15分4秒だから、大きく失速したわけでもなかったが、30キロまでの5キロで15分27秒を要し、1時間30分11秒で「魔の30キロ」に突入した。

35キロまでの5キロで15分43秒、40キロまでの5キロでは17分17秒とラップが愕然と落ちた。終わってみれば、フィニッシュタイムは2時間9分3秒。自己新記録の更新で6位入賞を果たし、「自己ベスト更新できてホッとしています。まだまだこれから。応援ありがとうございました」とツイッターに投稿したが、上位選手のタイムと比較すれば、決して安心できる数字ではない。

優勝した16年リオデジャネイロ五輪の金メダリストのエリウド・キプチョゲ(32=ケニア)のタイムは、2時間3分32秒だ。初マラソンのグエ・アドラ(32=エチオピア)が14秒差でそれに続き、キプチョゲとともに「ビッグ3」と称される、ケネニサ・ベケレ(エチオピア)、ウィルソン・キプサング(ケニア)は途中棄権していた。設楽の6位は、世界のトップと渡り合えたという証明にはならない。

瀬古氏「2時間5分台は出せる」

前回のフルマラソンは、初マラソンの「東京マラソン2017」だった。設楽はこの時も、序盤から今回と同じように飛ばしたが、後半に失速し、2時間9分27秒の11位に終わった。

ただ、日本陸連の瀬古利彦・マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは

「昔の中山(竹通)くんのような走り、能力の高さを感じた。彼のようなスピードのある選手が世界基準のレースをしてくれれば2時間5分台は出せる」

と好評価を与えており、積極的なレーススタイルは陸上関係者からの期待も熱い。

設楽は今回、万全なコンディションでなかったのも事実だ。9月9日、チェコで行われた10キロレース「ビレル・プラハグランプリ10k」に出場し、日本人トップの28分56秒で10位に入ると、翌週16日には、同国のハーフマラソン「マトニ・ウスティハーフマラソン2017」で1時間00分17秒の8位入賞。これは、ハーフマラソンの日本新記録だった。