宮型霊柩車が減少した二つの理由

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「親指を隠しなさい」と言われながら、最後に霊柩車を見かけたのはいつのことだろうか。特に黒塗りの車体の上に金色の煌びやかな屋根が取り付けられた宮型霊柩車は、その非日常的な外観と相まって筆者の記憶にも色濃く残っている。しかし近年その姿を見かけることがないように思う。「教えて!goo」にも「そう言えば、最近、昔ながらの霊柩車って見ますか?」という質問が寄せられているが、実際のところはどうなのだろうか。

■見かける声、見かけない声が半々

回答者の声をまとめてみても、最近宮型霊柩車を見かけたという声と、めっきり見かけないという声は同じくらいだった。

「しょっちゅう見てます、、、、。私は、田舎に住んでます。加えて、近くに、葬儀場があるので、出勤時なんかに、火葬場に行く姿を、よく見かけています」(grakaiさん)

「そういえば最近どこかで見かけたような気がします。『珍しいな』と思いました。子供の頃は結構よく見ましたね。必ず親指を隠していました」(noname#159051さん)

「昔の霊柩車は見なくなりました。(中略)葬儀屋さんにあのゴージャスな霊柩車を、と探して貰いましたが今では需要が少なく宮型はありませんと言われました」(ongoroさん)

「不思議とここ数年走ってるのは見てなくて、でも葬儀に行くと だいたい霊柩車は そのタイプです」(Mell1107さん)

他にも、地域差が出ているのではないかという声もあった。

「このへんは地域性の影響が大きいのだと思います。(自宅葬より葬儀会場での葬儀が多く、葬儀場からバス型霊柩車で家族・親戚一同が乗り合わせて火葬場を往復するのが一番多い形態ではないでしょうか)」(yotani0425さん)

「出棺のときに来る霊柩車は、派手なものを好む地域だからでしょうか宮型を多く見かけますね」(silent_blueさん)

■相対的に減少する宮型霊柩車

では、実際のところ宮型霊柩車の数はどう増減しているのだろうか。現在利用されている霊柩車について、全国で葬儀を執り行っている心に残る家族葬の葬儀アドバイザーに解説していただいた。

「利用されている霊柩車にはいくつか種類があります。豪華な宮型霊柩車は元々昭和に普及し、全国に1000両以上が走っていました。しかし最近では、見た目が高級外車と変わらない洋型霊柩車が急激に増えています。去年のデータでは、宮型霊柩車は806台、洋型霊柩車は1514台となっています。したがって、最近は目立つ宮型霊柩車が減少し目立たない洋型霊柩車が増加したため、霊柩車を最近見ていない気がするのですね」

確かに数としては減少しているが、その分を他の霊柩車が埋めているといった具合のようだ。しかしどうして宮型霊柩車の数は減少しているのだろうか。

「宮型霊柩車が減少した理由は2つあります。その理由のひとつとしては、宮型霊柩車は目立つので『宮型霊柩車=お葬式』というイメージが浸透し、不吉に思われてしまったということがあります。自治体によっては宮型霊柩車を規制しているところもあります。これは近隣住民への配慮ということのようです。もうひとつの理由は、バブルが崩壊し、長く続くこの不況が関係していると考えられます。家族葬が普及した背景とも重なりますが、不況によりお葬式にかけられる費用が大幅に減り、宮型霊柩車より比較的費用のかからないバン型の霊柩車が選ばれるようになったということがあります」

家族葬など葬儀形態の多様化にみられるように、霊柩車に対する考え方も時代を通じて変化している。それはより経済的に済ませたいという理由だけで説明しきれるものではない。ひっそりと故人を送り出したい、周りから好奇の目を向けられたくない、といった意識が徐々に高まっていることも要因に挙げられるのではないか。人それぞれの心のあり様を色濃く写すのが葬儀。だとしたら、時代の意識といったものにもっとも敏感に影響を受けるのもまた道理と言えるのかもしれない。

専門家プロフィール:心に残る家族葬 葬儀アドバイザー

故人の家族と生前に親しかった方だけで行う家族葬こそが、故人との最後の時間を大切に過ごしたいという方に向いていると考え、従来の葬儀とは一線を画した、追加費用のかからない格安な家族葬を全国で執り行っている。

ライター 樹木悠

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)