楽天・高梨雄平【写真:荒川祐史】

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30登板以上で防御率0点台は両リーグで楽天・松井裕と2人だけ…“地味”な圧倒感が話題に

 楽天のドラフト9位左腕・高梨雄平投手が24日、ロッテ戦(ZOZOマリン)の7回途中から2番手で登板。打者2人をピシャリと抑え、新人ながら通算30試合登板に到達した。これで防御率0.93、被本塁打0。決して目立ちはしないが、驚異的な記録を残し、ファンの間でも話題になっている。

 いつものように颯爽と仕事をこなした。0-2とビハインドで迎えた1死二塁。高梨は左打者が続く場面で先発・安楽の後を受けて救援。サントスを空振り三振に斬ると、クリーンアップの3番・鈴木も遊ゴロに仕留め、見事に無失点でピンチを脱出した。

 これで通算30試合に登板。新人としては立派な数字だが、内容は新人離れした驚くべきものとなっている。

 29回を投げ、自責3、防御率0.93。30試合以上に登板した投手で防御率0点台は、両リーグを通じて楽天の松井裕(44試合、防御率0.20)と2人だけ。しかも、被本塁打は0。これは30登板以上で、パ・リーグでは西武シュリッター(50試合)、ソフトバンク嘉弥真(44試合)と4人だけ。“ミスターゼロ”が、いかに中継ぎとして貴重な役割を果たしているかが見て取れる。

 高梨といえば、独特のゆったりとしたフォームでサイドから繰り出す鋭いスライダーを武器として活躍。タイミングの取りづらさが、安打されても、ジャストミートされて被弾するリスクを避ける要因になっているだろう。

隠れ新人王候補? ソフトB柳田は5の0と圧倒…「どんな状況でもいけるよう準備するだけ」

 4月に12球団ルーキー最速で初勝利を挙げて話題となった。4月下旬に一度はファーム落ちを経験したが、6月に再昇格後は17試合連続無失点を含め、22試合で失点はわずかに1試合と抜群の安定感を発揮。イニング数を上回る奪三振率9.62も誇れる数字だ。

 対左打者では3冠王候補のソフトバンク柳田を5打数無安打に封じるなど、圧倒的な強さを発揮。ビハインドの場面を含め、状況を問わずに起用されるため、7ホールドにとどまっているが、守護神・松井裕が離脱した今月は勝ちパターンを務め、春先からチームの快進撃を支えてきたブルペン陣でも欠かせない存在となった。

 高梨自身は「どんな状況でも自分はいつでもいけるように準備をしているだけ」と常々語っている。新人王レースでは西武のドラフト3位・源田壮亮内野手が本命とみられているが、ドラフト9位の雑草左腕も“隠れ新人王候補”として今後さらに注目をされる存在になるだろう。

 川越東から進んだ早大3年春に東京六大学リーグ史上3人目の完全試合を達成。しかし、社会人のJX-ENEOSでは不調に陥り、楽天にドラフト指名されなければ、野手転向する可能性もあったという異色の経歴の持ち主だ。

 果たして、本塁打を打たれず、防御率0点台を刻み続ける背番号53の勢いはどこまで続くのか。決して派手さはなくとも、しっかりとチームに貢献を続けていく。(Full-Count編集部)