旅客船で日本初! 太陽光発電オフグリッド電力船が日光・中禅寺湖で就航

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夏休み向けの面白いイベントはたくさんあるが、お子さんの夏休みの自由研究にもなる未来のテクノロジーを見に行くのは如何だろうか。

実は、旅客船としては日本で初となる「太陽光発電オフグリッド電力船」が日光・中禅寺湖で就航したのだ。

「太陽光発電オフグリッド電力船」
と聞いても、???

なんのことか、わからないという人が大半だと思う。
かくいう筆者も、知らなかった。

ここでは、日光・中禅寺湖で就航した太陽光発電オフグリッド電力船とともに、そのテクノロジーについても詳しく解説しよう。


■太陽エネルギーで発電する新型遊覧船
日光・中禅寺湖で就航した太陽光発電オフグリッド電力船は、新型遊覧船「男体」と呼ばれる船だ。
客室の電源は、すべて太陽エネルギーで発電された電力を使用している。

従来の発電機や内燃機関による発電に比べて、排気の無い、静かで安全、さらに高品質電力を客室内に供給できるメリットがある。旅客船としては日本初の太陽光発電オフグリッド電力船となる。

「男体」の船内には、全部で52箇所のコンセントと客室内LED照明が設置されており、船内のWi-Fiサービスも、すべてこのオフグリッド電力によって供給されている。
さらに停泊中は、二酸化炭素などを排出しない「ゼロ・エミッション」を実現することができる。地球温暖化防止や二酸化炭素(CO2) 削減にも繋がるわけだ。





■悪天候時でも安定的に電力を供給
太陽光発電は地球温暖化防止やCO2 削減に貢献できるエコエネルギーだが、欠点もある。
悪天候時には、十分な発電が困難なことだ。

太陽光発電は、発電量が天候に左右されるため、船舶で従来から使われているディーゼル発電機の代替手段とは考えられていなかった。

しかし、「男体」に採用された「舶用電力システム」は、この問題を見事に解消したのだ。

曇天や雨天などの悪天候時に太陽光発電が不足した場合、船内発電機からの電力をオフグリッド電力システムで整流化すことによって、太陽光発電と同様に、高品質な電力を供給できる。
わかりやすく言えば、ハイブリッドな遊覧船というわけだ。





■ディーゼル発電機の弱点を解消
「舶用電力システム」は、太陽光発電の弱点を克服したけでなく、ディーゼル発電機の弱点も解消している点も興味深い。

というのも従来のディーゼル発電機は、安定した正弦波を供給することが困難だったからだ。
たとえば、スマートフォンなどのモバイル機器を充電したくても、電圧が不安定なために本体破損の恐れがあったのだ。

その点、「舶用電力システム」は常時安定した電圧、正弦波で電力を供給できる。ディーゼル発電機の弱点である「電圧の不安定さ」をも解消しているのだ。





■豆知識:「パーソナルエナジー」とは?
「パーソナルエナジー」は、「オフグリッド電力システム」とも呼ばれている。
太陽光発電+蓄電池を合わせた独立電源システムのことだ。
蓄電と放電を、いつでもどこでも場所を選ばずに実現することができる。

自然エネルギーである太陽光からの発電を主電源とすることができるのが大きな特徴だ。
災害発生時などのライフライン寸断時や、発電機などの燃料調達が困難な場合、危険物持込が制限されている場所、このようなケースでも利用できると期待されている。





ITライフハック 関口哲司