平成の元号が使われるのも残りわずかとみられている。新しい元号に切り替われば、「平成」の2文字は時が経つに連れて忘れ去られ、やがて色あせてゆくのだろうか――記者がそう心配していたのも束の間、北陸新幹線を走るW7系車両に、「昭和64年(1989年)製」の公衆電話が載っていることが、ツイッターで話題になった。


北陸新幹線の車両(Jタウンネット編集部撮影)

2015年3月にお披露目されたばかりの車両に、約30年前の「昭和」に製造された公衆電話が搭載されるものなのか。気になったJタウンネット記者は、NTTコミュニケーションズ(NTTの子会社)に話を聞いてみた。

「古い公衆電話も最新鋭の新幹線に載せています」

NTTコミュニケーションズの広報担当者によると、もう生産していないため、製造年月から30年近く経ってもこの公衆電話が現存していること自体は不思議ではないという。

「古い電話機を使うしかありませんが、塗装し直したり、部品を交換したりして大切に使用し続けています」

製造番号などを伝えて、「昭和64年製」の電話機がどの車両にあるのかを聞くと、担当者は、設置場所の特定は困難を極めると話した。

「古い公衆電話も最新鋭の新幹線に載せていますので、北陸新幹線の車両に載っていることは十分考えられますが......。新幹線の公衆電話は、新幹線専用に製造されています。(北陸新幹線が開通するまで)この公衆電話もきっと別の路線で活躍していたのでしょう」(担当者)

昭和が終わりを告げても、昭和の「遺産」はこうして残されている。新元号が切り替わるその時まで、平成の「遺産」も受け継がれてほしいものだ。