専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第93回

 ゴルフで、やる気を起こさせる手っ取り早い方法は、ニューギアの購入と、それを使ってのラウンドです。キャバクラで新人女子大生と出会うぐらいフレッシュですから、感激もひとしお。もう、春が来るのが待ち遠しいですねぇ〜。

 そんな今頃、今シーズンは何を新調してラウンドに臨めばいいかって、大いに悩みます。自分なりの試合やコンペ、そういう目標に向けてニューギアを購入。それで弱点を補い、さらなるステップアップを図るため、自主トレ、キャンプ、オープン戦を経て、開幕突入……って、ほんとプロ野球みたいですね。

 新しいクラブを新調した場合、とりあえず練習場で打ち、感触がよかったら、いざラウンドじゃ、とキャディバッグに入れますよね。規定では14本までですが、1本ぐらい余計に入れても構わないと思います。

 過去にプロゴルファーやトップアマと何度もラウンドをしましたが、みなさん練習ラウンドのときは、何本も余計にクラブを入れてラウンドしていましたから。売れている人ほど、各メーカーから「新しいクラブを試してよ」と、モニターを依頼されることが多いのです。

 ただ、我々は「生涯練習ラウンド」ですから、すべてのラウンドが本番となります。同伴メンバーの中には、スコアで対決する人もいるでしょう。そういう方には、「今日、新製品のお試しなので、クラブ1本多くなりますが、よろしくお願いします」と言っておくのが筋です。さすれば、ルールやマナーにうるさい人でも、「ああ、いいよ。おぉ〜、なかなか飛びそうなクラブじゃん。あとで打たせてよ」と、丸く収まるわけです。

 ユーティリティーやウェッジ類は、要所、要所で新製品を使えば問題ないのですが、使用でためらうのが、ドライバーです。朝イチから、ニュードライバーをかっ飛ばしますか? 

 そういう豪快な考えもいいですが、私だったら、最初のうちは従来の慣れたドライバーで打ちます。2、3ホール、プレーして、ここはフェアウェーが広いと感じた場所に遭遇したら、そこでニュークラブをデビューさせます。

 まあ、人それぞれ考えがありますから、お好きなように。ただドライバーに限って言えば、以前のドライバーも必ず持っていったほうがいいです。練習で感じがよかったとしても、実戦でニュークラブが当たらないことはよくあります。そのとき、代えのクラブがないと、1日がつまらなくなりますから。

 そうそう、新しいゴルフグッズで、必ず代えを持っていくべきものがもうひとつあります。それは、クラブ類ではありません。ゴルフシューズです。

 実は新しいシューズのお試しラウンド、これがけっこう難儀なのです。

 ゴルフシューズって、足もとをぐらつかせないようにするから、わりとタイトに締めて履くでしょう。だから、実際のラウンドで履くと、きつすぎてマメができたり、靴ズレが起きたりして、ラウンド不能になることがあります。そんなとき、予備のシューズを入れておくと、なんぼ楽か。

「慣れた靴は爽快だ! ぴったし自分の足にフィットするしね。なのに、オレはこいつを捨てようとしたなんて……」

 ちょっと大げさですが、案外古いシューズに感謝することもありますよ。


新しいシューズでのラウンド、みなさんも苦労したことはありませんか? 個人的には、新しいシューズを持っていますが、いまだに古い靴を履いてラウンドしています。靴を取り替えるのが面倒くさいというか、自分の足にフィットしているので、ソフトスパイクを何度か取り替えて、大事に使っているのです。

 外反母趾という、親指が曲がる症状になっていて、慣れた靴でないと歩きづらいので、ぴったりの靴は手放せないですね。この歳になって、「もし新しい貝殻が合わなかったらどうしよう……」と悩むヤドカリの気持ちがわかりましたって、ほんまかいな。

 そもそも日本人の足は西洋人と違って、足の甲の部分が高くなっているそうです。これは、ゴルフシューズを作っている職人さんから聞いたので、あながち間違ってはいないでしょう。

 実際に以前、外国メーカーの靴を履いたとき、足の甲の部分が痛くなって、靴ヒモを何度緩めたことか。今は日本人の足の特性を理解しているメーカーが多いですから、そんなことはないとは思いますけど。

 新しいゴルフシューズを新調したとしても、慣れるために外を歩くことはなかなかできませんよね。靴底にソフトスパイクがついていますから、アスファルトの上なんて歩けませんし。

 わざわざ、公園の芝生まで持っていって履きますか。それも面倒くさいでしょ。だから、新しい靴のお試しラウンドは出たとこ勝負なんです。くどいようですが、予備の古いシューズを一緒に持参することをお勧めします。

 ニューシューズへの移行がスムーズに進めば、いよいよ古いシューズが退役する運びとなります。では、そのシューズ、ゴミの日に出しますか?

 いえいえ、引退したシューズはまだ使い道があります。練習場で使用するのにもってこいです。

 ゴルフシューズはソフトスパイクが邪魔で、練習場内でも歩きづらいし、打ちづらいです。ところが、ソフトスパイクがすり減っている古いシューズは、安定感が抜群。しかも、スニーカーよりホールド感があって、打ちやすいのです。

 古きを温め、新しきを知る。ゴルフシューズは、まさに「温故知新」。そういう解釈もあり、ですね。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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