『台北プライベートアイ』(紀蔚然) 台湾から、新しい名探偵の登場である。主人公の呉誠(ウーチェン)は大学で演劇学や英語を教える教師で、名の知られた劇作家でもあったが、妻に去られたこと、酒の席で人間関係をぶち壊したことなどから、自分に嫌気がさして、突然、私立探偵への転職を決意する。 本書は『私家偵探PRIVATE EYES』という原題で、二〇一一年八月に発表され、二〇一二年の台北国際ブックフェア