内村鑑三は日清戦争の始まった明治二十七年(一八九四年)、『代表的日本人』を英語で著した。日本が欧米列強に肩を並べようと近代化に邁進していた明治時代、西洋人が日本人を見る目はまだ差別的で、ロシアのニコライ二世などは「黄色い猿」と呼んでいたほどだった。アメリカも同様だったから、そこへ留学した内村は幾多の悔しい思いを経験したはずである。この留学を通し内村は、夢にまで見たキリスト教国アメリカより、異教国