雪かきした場所にはイスやぬいぐるみを! シカゴ名物の「ディブス(場所取り)」文化

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今年に入り、すでに3日間も「スノーDay」(雪や寒さのため休校になること)になったアメリカ・シカゴの公立校。夏休みに入るのもその分3日間延びてしまう。休校になっても寒すぎて外に遊びに出る訳にもいかず、親にとっても子供にとっても厳しい日々。
2月1日の積雪量は約50センチ。 除雪車の活躍であっという間に大通りや高速道路はスノーフリーな道になる。しかし、路上駐車が多い市内のサイドの道は……これまたすごい事になっている。

路駐場所から車を出すのはとても労力の要る雪かき作業である(この積雪で雪かき作業中に6人の死亡者がでた)。まるで雪から車を掘り出すという感じだ。1台の車を運転できる環境にするまで、数時間はかかる。クタクタになってようやく車を出した! というやり遂げた感が大きく、その日のFacebookやTwitterではいかに車を掘り出したか、というのが盛り上がっていた程だ。

そんな数時間を費やした場所だからこそ、仕事に行って帰ってきた時、すんなりここに駐車する権利がなくては! ということでできたらしい、シカゴ伝統の「ディブス」。ディブスは、実際に所有権はないが、オブジェクトによって所有権利を主張するといった意味である。日本語で言えば「場所取り」だ。

普段なら誰がどこに駐車しようが公共のストリートなので構わない。しかしこの雪で、こんな日常の常識もシカゴではとことん崩れてしまうのだろう。

ディブスでよく見かけるのはプラスティックの椅子だが、到底一人では動かせない大型家具があったり、テーブルクロスがかかったテーブルに椅子二つ、ディナーを待っているらしき雰囲気をかもし出していたり、マネキン、赤ちゃんベッド、そんな物があっちこっちに置かれていることも。

笑いが出る前に呆れてしまうが、これが真冬、積雪後のシカゴ名物にもなっている。

最近ではディブスと一緒にメッセ-ジがついてあり
「数時間雪かきに費やしました。この場所は絶対に私のものです」
「お金を払って雪かきしてもらったのでこの場所は譲れません」
「君はここを雪かきしてないだろ? 私がしたのだよ、私の場所だよ」
「旦那が手術を受けます。この場所をとらないでください」
「こういう事普段はしないのだけど、インフルエンザに罹って医者に行くのでどうか許して」
(ディブス画像を集めたブログもあるので見てみてください)

こんなことしたら違反、罰金でしょ? と思ってしまうが、この大雪で市も警察も除雪や市民の安全第一を考えての方面に100%フォーカスしていて、そこまで対処しきれていないのが状況のよう。「ディブスなんてものに手間隙かけていられません!」なんだそうだ。

そして市民もこの雪かき一連のイベントには慣れているようだが、一方で批判の声があることも事実。
「どう考えても、自分しか頭にないセルフィッシュのする事」「公共道路、シェアするのが当たり前」などなど、ただいまシカゴではホットな論議です。

あ〜早くシカゴにも春が来ないかな〜。
(シカゴ/あらた)