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●ケーブル1本で接続してテレビにスマートフォン画面を表示MHL規格を策定するMHLコンソーシアムは6月4日、東京都内でMHLの現状に関する説明会を開催し、拡大するMHLのエコシステムをアピールした。今後、市場のニーズに応じて順次仕様を拡張していく考えだ。

MHL(Mobile High-definition Link)は、もともと米Silicon Imageが開発したインタフェースで、マイクロUSBコネクタを流用して映像。音声を送信することができる。マイクロUSBと端子に互換性があるため、MHL端子には通常のマイクロUSBケーブルも利用でき、1つの端子でMHLとUSBがともに利用できる点がメリット。Silicon Image、ソニー、東芝、ノキア、サムスンの5社がMHLコンソーシアムを設立し、仕様を策定している。

コンソーシアムは2010年4月に設立され、6月にはMHL 1.0の仕様が策定された。最初の製品は2011年5月に登場。その後、2012年4月にMHL 2.0、2013年8月に現在のMHL 3.0仕様が策定された。現在200社以上が対応製品を提供し、すでに5億台以上のMHL対応製品が出荷されているという。

5億台以上という出荷台数は「想定以上」(MHLコンソーシアム・プレジデントのRob Tobias氏)で、特にスマートフォンに採用され、爆発的に普及したのが大きな成長につながったという。

スマートフォンやタブレットでは、ソニーやサムスン以外にも、京セラやパナソニック、シャープ、NEC、富士通といったメーカーから対応製品が登場。2013年以降はソニーやシャープ、東芝、富士通、サムスンなど、さまざまなメーカーから対応テレビやモニターが発売されているという。

スマートフォン、タブレットとテレビが対応したことで、ケーブル1本で接続して、テレビの大画面にスマートフォンの画像を表示できるようになった。スマートフォン内のコンテンツを表示するだけでなく、スマートフォンゲームをテレビに出力すれば、大画面でゲームを楽しむことができる。

●MHL 3.0では4KやHDCP 2.2にも対応スマートフォンやタブレットだけでなく、プロジェクターなどのホームシアター製品にもMHL対応製品が拡大。HDMIとUSBという2つの端子を用意することなく、データ伝送と映像伝送の2つの機能をカバーできるのがMHLの強みだ。

さらに車載機器への搭載も始まっており、アルパインやパイオニア、ソニー、ケンウッド、クラリオンといったメーカーが賛同している。

最新のMHL 3.0規格は2013年8月20日に策定された。新たに4K(2160p30)をサポートし、コンテンツ保護のHDCP 2.2に対応した。電力供給にも対応。10Wまでの電力を供給できるため、タブレットも充電しながら利用できるようになる。MHL 3.0対応ケーブルであれば、従来のように充電用のケーブルが不要になり、対応テレビから充電しながらスマートフォンを使うことが可能になった。

データ転送が高速化されたほか、Dolby TrueHD、DTS-HDといったオーディオにも対応。タッチパネルのデータも転送できるようになったので、例えばスマートフォンの画面を車載機器に表示し、車載機の画面をタッチしてスマートフォンを操作する、といったことも可能になった。

MHL 3.0を採用しているのは、スマートフォンやタブレットがソニーモバイルコミニュケーションズのXperia Z2/Z2 Tablet、テレビがソニーのBRAVIA、サムスンのS9などで、ケーブルもMHL3.0対応ケーブルが必要になるが、これらを組み合わせればXperia Z2で撮影した4K動画を非圧縮でそのまま4Kテレビに表示するといった使い方が可能になる。

MHLコンソーシアムでは、今後も仕様の拡張を続け、市場のニーズに応じた製品を投入していく考えだ。

(小山安博)