京セラが発売した耐衝撃、耐振動、防水の特徴を持つ「TORQUE(SKT01)」

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家電量販店も各キャリアショップも、ケータイ売り場でいちばん目立つところに並んでるモデルはiPhone。狭い棚に一列に並べられているAndroidを尻目に、デカいカウンターをたった一機種で占領している。

そのAndroidも、目立つ場所にあるのはサムスンやLGといった韓国勢。2年ほど前に主役だった国産スマホは、孤軍奮闘するソニーを除けば、見る影もない……というのが、昨今の現状だ。

「ガラケーの時代は、パナソニックとNECの2強がシェアを争うこともありましたが、両社はすでにスマホ事業からの撤退を表明し、国産勢の劣勢は明らかです」(青森公立大学准教授・木暮祐一氏)

その一方で、今後続々と登場してくると思われるMVNO(仮想移動体通信事業者)向けの中国製格安スマホの動向も気にかかる。国産スマホの生き残る道は、閉ざされてしまっているのか?

「スマホの機能やスペックに、メーカーごとの差がつけにくくなっているのは事実です。しかし、だからこそニッチ向け機能を磨いた端末を、個性的で高性能な端末として打ち出しては? そこに日本メーカーの生き残る道はあると思います」(木暮氏)

木暮氏は、その一例として高耐久性のスマホを挙げる。

「京セラは、耐衝撃、耐振動、防水など厳しい環境下での使用を想定した米国国防総省調達基準を満たす『TORQUE(SKT01)』を発売しました。またスマホ開発部門が解散したパナソニックも、高耐久性ノートPC開発部門がそのノウハウを受け継ぎ、同様の基準を満たす上、手袋をしたままでも操作可能なタッチパネルを備える5インチ音声通話対応タブレット『TOUGH PAD FZ−E1/FZ−X1』を6月以降に発売します。

いずれも一般のスマホとは異なり、キャリアショップでの販売はありません。これまでキャリアに言われるがままに個性のないスマホを作り続けてきたメーカーが、こだわりを持った製品作りを始めたことは、復権のチャンスにつながるのではないでしょうか」

絶滅寸前のところまできて、本来の「モノづくり」に立ち返る“兆し”を見せた国産スマホメーカー。ここからの反撃に期待だ。

(取材・文/植村祐介)