いも巡る泥棒との15年の戦い、無人販売所から盗む証拠を執念で掴む。

写真拡大

日本と同じように、ドイツでも生産が盛んな地域ではよく見られるという農産物の無人販売所。そんなドイツの無人販売所でじゃがいもを販売していたある男性が、地元メディアで話題を呼んでいる。

独紙ビルドやザ・ローカルによると、この男性は北部ニーダーザクセン州ゾルズムでじゃがいも農場を営んでいる62歳のフリードリヒ・ランツベルグさん。彼は、22年前から始めた無人販売所で、わずかなお金しか払わないのに、多くのじゃがいもを持ち去る利用者がいることが分かり、15年前に3台の防犯カメラを設置した。カメラの映像は、自宅の台所に置いたモニターで見られる仕組みで、間もなくランツベルグさんや家族は、1人の怪しい男の存在に気付いたという。

定期的に現れたその男は、常に「顔の特定を難しくさせる」大きなサングラスを着用。毎回、車に乗ってやって来るのは分かっていたものの、いつもカメラから見えない場所に停めていたため、ナンバープレートも確認ができなかったという。容疑者の彼が盗みを働いている「決定的証拠」も確認できず、ランツベルグさんらは男の行動に目を光らせ続けていたそうだ。

今年の冬には2週間おきにやって来たほど、頻繁にランツベルグさんの販売所へ現れていた男。7月5日には12.5キロ分を持っていくシーンが撮影されるなど、苦々しくも映像に目を凝らし続けていた経営者家族だったが、その3日後に待ち望んでいた瞬間が訪れた。食事をしていたランツベルグさんの娘が、モニターに現れた男の姿を発見。様子を見ていたところ、バッグに19キロのじゃがいもを詰め込んだ男が、財布から15セントしか(約20円)出さなかったのを確認し、きちんと代金を払わずに盗んだ事実を目にしたという。

男出現の知らせを聞き、ランツベルグさんは販売所へ急行。車のナンバーという、男の身元が分かる証拠が掴めれば告発できると考えていた彼は、ここでようやく警察へ被害届を出し、警察が問題の車に乗っていた59歳の男に事情聴取を行ったところ、男は窃盗の事実を認めたという。

現時点で男は「2回の犯行について」認めているそうだが、男による被害額はこれまでに「1,000ユーロ(約13万円)以上」に及ぶと話すランツベルグさん。しかし「やっと彼を捕まえられたよ」と語った彼は今、長年追い続けた執念が実を結んだ達成感を大いに味わっているようだ。