通算400勝の金田正一や、通算2987奪三振の江夏豊、シーズン42勝の稲尾和久など、昭和の時代にはプロ野球史に残る大投手がたくさんいた。それに比べれば、今の投手は最多勝でも15〜6勝で、通算100勝投手も現役では5人しかいない。

これだけみると、今の投手は、昭和の投手と比較にならないほどスケールが小さい――、と思ってしまいがちだが、今春発刊された『プロ野球なんでもランキング 「記録」と「数字」で野球を読み解く』(広尾晃著/イーストプレス社)によると、現在大リーグのボストン・レッドソックスの救援投手で活躍している上原浩治は、日本プロ野球史上最高の投手といえるのだという。

同書では、ある数値に着目している。奪三振数を与四球数で割った数値を「SO/BB」というのだが、これが高い投手は“三振をたくさん取って四球を与えない”優秀な投手ということになり、大リーグでは非常に重要視されている数値なのだ。

巨人時代の上原浩治は、通算1376奪三振、206与死球。SO/BBは6.68。これは2位の成瀬善久(千葉ロッテ)の4.88や、3位の土橋正幸(元東映)の4.61を大幅に上回る断トツの1位。76年にわたるプロ野球の歴史でも、最も精度の高い投手ということがいえる。

大リーグでも上原はその精度の高さを発揮しており、昨年、MLBレギュラーシーズンでも上原の「SO/BB」は断トツ1位だったと指摘した記事があがると、上原自身がツイッター上で「嬉しい記事が(#^.^#)」と紹介したほどだった。

達人の領域、上原浩治|検証、2012MLB日本人選手‐0
これもメジャーで生き抜く秘訣? 上原浩治が驚くべき告白
『プロ野球なんでもランキング 「記録」と「数字」で野球を読み解く』