MLBのアナリストにとって「最も優秀な日本人投手」は、黒田博樹やダルビッシュ有ではなく、上原浩治ではないかと思われる。抜群の数字をもっているからだ。

SO/BBというデータは、投手の能力を示すデータとして重要視されている。SO/BBが高い投手は、コントロールが良いだけでなく、打者を走者にしない技術に長けている。もっとも安全性が高い投手だということだ。
今季、MLBのレギュラーシーズンで1試合でも投げた投手は682人いる。この中でSO/BBの数値において、上原浩治は1位なのだ。しかも断トツである(田澤が3位にいるのも驚きだが)。

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昨年は全体4位。一昨年は全体3位。並み居るMLB投手の中で、その安定感、信頼感はトップクラス。最高のセットアッパーの一人と言ってよいのだ。
キャリアSTATS

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もう一つ歴史的なことを言うなら、上原はNPBで1000回以上投げた投手の中で、BB9(与四球率)が最も低い投手でもある。いわば日米の野球史上で最もコントロールが良い投手だと言っても良い。
その投球術は、MLBに移籍してからさらに磨きがかかっている。K9(奪三振率)が上昇し、BB9はさらに下がっているのだ。
先発投手から中継ぎに転向したこともあるが、ストライク先行が求められるMLBで、さらに勝ち味が早くなったともいえるだろう。37歳にして進化しているのだ。
もはや「達人の領域」と言っても良いかもしれない。

上原浩治のクオリティについては、すでに評価が定まっていることと思われる。問題は、シーズン通して働いたことがない、ということだ。必ず故障や不調で戦線離脱する。
MLBでは救援投手は少なくとも50試合以上は働いてほしいところだが、上原はMLBで1度しかこの数字をクリアしたことがない。この点が大きなネックとなっている。
実は、上原くらいの年齢でフル稼働している救援投手は少なくない。むしろこの年齢くらいから、スタミナがついてくる投手さえいる。
体調さえ万全であれば、来季の上原は、さらに活躍が期待できるだろう。