――柴咲さんが、本作の中で特に印象に残っているシーンはどこですか?

柴咲:もう銀(粉蝶)さんのお芝居はギュンギュン来ますね。母親だし、娘だし、自分にもこれから起こるシチュエーションかもしれないし、色々と勝手に想像を巡らせてしまうような役柄だったと思うから、さわ子さん一家のシーンは好きですね。最後に「先のことを考え過ぎるな」と言ってるけど、どうしても考えちゃうし、考えた所で「私達は今を生きてるから」とも感じますね。

――では最後に、これから本作をご覧になる方に向けてメッセージを御願いします。

柴咲:私もこう見えて結構悩む所もあるので、分かった振りというより、同士という感じがします。煌びやかな仕事みたいに捉えられると思うし、良く思われることはプラスなんですけど、人知れず悩んでいる時もあるし。私の場合、悩みの負のスパイラルに巻き込まれることが多いので、ろくなことがないというのは身をもって知ってるから、シンプルに、考え過ぎは良くないです(笑)。仕事でも転機が訪れたり、日々色々な選択があると思うけど、状況とかではなく、「自分はどう?」みたいな好き嫌いを聞く癖をつけたらいいかも。楽しく生きる一つのコツかなと。

 自己犠牲とかではなく、自分の人生だから。自分の思考って、自分にしか分からないんですよ。誰かに依存して「聞いてよ」「分かってよ」と言った所で、本当に分かってもらうことなんか絶対に出来ないし、全てを受け入れてもらうとのもちょっと嘘な気がする。受け入れてあげられるのは自分だけだと思うから、心の底にある声を日々ちゃんと聞いてあげようとするのが大事だなと思う。

 自分を見詰めるというのも、悪い所を引き算しちゃったり、誰かのせいにしたり。それに気付くのにも時間が掛かるけど、一生懸命見てれば見えてくるし。なるべく負の気持ちじゃなく、プラス思考で見てあげられたらいいなと。


 過去の自分を振り返り「パブリックイメージを覆したいという気持ちはあった」と語る柴咲コウ。映画の冒頭で、自然に囲まれる中、親友と手作りの弁当を広げて微笑む彼女の姿に、少なからず違和感を覚える人もいるかもしれない。34歳のカフェ店員すーちゃんは、柔らかく、優しく、公園の陽だまりのような温かさを感じさせる家庭的な女性だが、その内面では押し殺した感情と向き合い、時に強い自我を覗かせる。そんなすーちゃんの人生に触れる内、いつしか違和感が心地良さへと変わっていることに気付かされるに違いない。

映画『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』公式サイト