フランス人が、日本に関する情報サイト「Kanpai!」で、日本とフランスの鉄道について比較している。

 筆者は、フランスの政府が運営する国有鉄道や郵便局などは評判が悪く、その質が悪化の一途を辿っているように感じている。フランスのユーザーの間では、値段のわりにサービスがあまりにもひどいといわれているため、これを見兼ねた筆者は、日本の鉄道会社のサービスから良い影響を受けてくれればと、今回その比較の対象に選んだという。

 フランスの国有鉄道SNCFが運営するTGV(高速列車)の比較対象には、JRが運営する新幹線を選んだ。筆者は、約552キロ離れた東京−大阪間と、それとほぼ同じような距離のパリ−リヨン間(約530キロ)を比べることにした。過去の乗車経験をもとに、今回改めて比較結果をまとめたようだ。

 筆者は、月曜日の朝9時という時間帯を選び、割引などのない通常価格の座席を購入した。筆者の乗ったのぞみ新幹線215号は、朝9時に東京を出て、11時30過ぎに新大阪に到着したが、発車と降車のホームの番号は事前に知ることができ、途中停車駅の情報や、その到着ホームの番号までも知ることができたと伝えた。

 一方、パリでは朝の8時58分にTGV6607号に乗り、リヨンに11時前に到着したが、乗車ホームの番号は、出発時間の何分か前にならないと知ることができないとし、日本の新幹線に比べると乗車が複雑になる点を指摘した。また、途中停車駅についても、ネットを見て初めて知ることができるが、そこにも「理論的には」としか書かれておらず、さらに遅延の場合は、乗車券上にかかれた時間ではなく、ネットに新たに更新すると書かれてあるという。

 また、新幹線の駅の構内についても言及した。日本の公共施設に共通して言えることだが、基本的にきれいでよく手入れされており、破損しているものはなく、サービスが一時停止していたとしても、何時間かですぐに復旧できて便利だと紹介した。また、障害者用の近代的な設備も整っており、どんなに小さな駅であってもトイレの数は多く、エレベーターが設置されており、駅員はみな親切で、快く対応してくれた。

 筆者はさらに、乗車前の光景について、乗車を待つ乗客たちは、引かれた線に沿ってがまん強く待ち、降りてくる人たちの妨げにならないようにスペースをきちんとあけていたと伝えた。また、多くの外国人が言うことだが、新幹線では、乗客が快適に過ごせるようにゆったりとした空間をとっており、足を伸ばすことができる。筆者は、より快適に過ごせるであろうグリーン車すら利用していないが、新幹線の普通車両は、既にTGVの1等車両に値すると述べた。

 新幹線は1964年に開通したのに対し、フランスのTGVは1981年とそれよりも少し遅れて開通した。フランスでは、頻繁なストライキにより、乗客が駅で足止めを食うケースがあり、公共の交通機関に関し、日本のようにいつも正確で上質なサービスが受けられるという安心感がない。筆者が今回紹介した新幹線のさまざまなサービスが、TGVにも導入されることを望むフランス人の声も納得がいく。(編集担当:下田真央・山口幸治)