想像力は限界を超えていく力である。

周到な市場調査が製品の売れ行きを確実に予想するものではないように、また、多くの偉大な発明が偶然や事故、あるいは、ひらめきによって生み出されているように、現実は計画や計算の通りに導き出せるものではない。

ゴルフコース上の池を意識すると、打球が池に吸い込まれていくことがある。偶然や事故でさえも潜在意識によって導かれた必然なのかも知れない。あるいは、現在の意識は未来の予言なのかも知れない。

研究や調査のための努力を否定するものではないが、モノゴトの真理を解明するのは、研究や調査、あるいは、経験など自体ではなく、それらに基づいた想像力、あるいは、ひらめきである。分析や調査、あるいは、経験は、形あるもの、意味のあるもの、あるいは、価値のあるものを創造するための原材料を提供するに過ぎない。

ジャガイモとニンジン、玉ねぎや肉を並べてもカレーにはならない。それらを適度に刻んでもやはり料理にはならない。それを調理、加工、盛り合わせる方法を知らなければならない。

調理の仕方とは、過去の成功や経験の模倣である。それらに忠実に従うことによって料理という「創造」が生まれる。

ビジネスなどの現実において型にはまった行動が求められることは多い。しかし、経営など未知の領域を切り拓いていく活動においては、原材料をどのように加工するのか、組み合わせるのか、あるいはどのような原材料を選択するのかなど、型にはまらない創造が求められる。それを可能にするのが想像力である。

想像力には2つの要素がある。1つは、過去の経験則との類似性を利用した模倣である。もう1つは、未来を予言する活動、あるいは、未来を形作る活動である。前者は比較的受動的、後者は能動的なものだと言える。


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