先週、日経新聞朝刊に「今時の売れ筋」と題するコラムが2回にわたって掲載された。その中でサラリと紹介されていた二つの事例、掘り下げてみると非常に興味深いことがわかる。

コラムは<消費低迷のなか、逆風をものともせずにヒットを続ける商品やサービスがある>とはじまる。その一つめとして紹介されているのが格安スーパー「ザ・プライス」の不揃いな魚や野菜だ。<しっぽが欠けていたり大きさがまちまちだったりと普段、流通ルートに乗らない規格外の魚を一括仕入れして実現した>という価格は、例えばアジが1匹77円だという。<特定農家と契約して野菜も提供>しているというが、その値段はタマネギ1個9円、ピーマン7円だ。<鮮度が良ければ、形に対する主婦らの反発は予想外に小さく>店は繁盛しているという。

文中で絵紹介されていないが、「ザ・プライス」はセブン&アイ・ホールディングス傘下の、株式会社イトーヨーカドーが運営するディスカウントストアである。同グループは採算性の悪いイトーヨーカドーをザ・プライスに転換を進めており、首都圏を中心に現在5店舗が営業している。
同店の低価格の秘密は、チラシや店内装飾などの販促費の削減と、食料品に集中し、大量仕入れをしていることと、川口店のWebサイトに説明がある。さらに、そこには『各売場の特徴』として、<青果売場や鮮魚売場では、標準品の他に、形は不揃いながらも品質は確かな「規格外」の青果や魚介類を、契約産地や市場より直接買い付けし、流通コストを削減>と明記してある。間違いなく不揃いな魚や野菜は目玉商品なのだ。

流通において、目玉商品を何にするかは極めて重要な課題だ。なぜなら、その目玉商品で客を集め、その他の商品でしっかり利益を稼ぐというマージンミックスで利益を創出するからである。目玉商品は場合によっては赤字覚悟のプライシングをする。「ロス・リーダープライシング」という。

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