「外を歩くのが怖い」遺族を追い詰めた、事故をめぐる真偽不明の噂


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「息子さんが事故に遭われまして」

高校3年生の夏の夜、警察から一本の電話が…それは、1つ下の弟がバイク事故に遭ったことを知らせるものでした。

職人気質でマイペースな父、世渡り上手で肝のすわった母、思春期をこじらせていた姉、そしてヤンチャだけれど誰からも好かれていた弟。ケンカは絶えないながらも、4人家族のありふれた日常は、突然の事故によって一変します。

弟を亡くした悲しみ、変わっていく周囲の人々、真偽不明の噂、少しずつ狂い出す家族の歯車。遺された家族は、後悔や痛みを抱えながらも、それぞれの形で前を向こうとしていきます。

大切な人を突然失った家族の崩壊と再生を描いたコミックエッセイ『16歳で帰らなくなった弟』を15回連載でお送りします。今回は第12回です。

※本記事はきむらかずよ著の書籍『16歳で帰らなくなった弟』から一部抜粋・編集しました。

■街を歩けない母

あのへん、ヤンキーのたまり場だもんね


あそこの息子...女の子もうしろにのせてかわいそうになぁ...


葬式が終わると静かな日常が戻ってきた


仕事はもうしないの?


そんな母を支えようとする友人もいた


毎日毎日顔見に来てくれて...


買い物にも行けなかった


みんな会うたびいろんな噂を教えてくれるしね


女の子が救急車の中で死にたくないって言ってたらしいよ


ただ噂に翻弄されることしかできなかった


本当の悪魔は優しい顔をしている


その一方で優しい人たちもいた


弟の友達が仲間を集めて事故現場を掃除してくれたのだった


あがってあがって


弟の部屋で賑やかに過ごしてくれた


そうポツリとつぶやいた


著=きむらかずよ/『16歳で帰らなくなった弟』