中丸雄一

写真拡大

 中丸雄一が自ら描き下ろした物語を映像化したショートアニメ『地球大好き!きっくん』が、7月1日(水)から毎週水曜、TOKYO MXで生放送中の情報バラエティー番組『5時に夢中!』内で放送される。本作は、地球侵略を目的に、遠い惑星から来た地球外生命体・きっくんたちが、地球の居心地の良さに心を奪われ、本来の目的を忘れ、逆に地球を守ろうとするストーリー。コロナ禍には、きっくんらが登場する4コマ漫画を毎日SNSで発信し、ステイホームが推奨される世の中にエンターテインメントを届け続けた中丸。彼の作品が、今度は夕方のお茶の間に癒しと笑いを贈る。

【写真】美しい手にも注目 中丸雄一の撮り下ろし(全3枚)

■きっくん誕生の裏にあったマネージャーからの助言

――雑誌「WiNK UP」(ワニブックス)で2012年からスタートした連載で誕生したのが本アニメの主人公であるきっくんですが、連載開始当時から、アニメ化は目標の1つだったのでしょうか?

中丸:当初は絵本にすることを目指していたので、アニメ化は想定していなかったです。コロナの期間に、家で楽しめるコンテンツを作ろうという企画が立ち上がって。4コマ漫画を作成して、初めてセリフやストーリーを具体化した時に、アニメや漫画といった別のパターンがうっすら見えた気がします。絵をもう1段階発展させたいという思いがあって、その方法をずっと模索していたんです。こういった思いを周囲にも相談していたところ、ちょうど1年前くらいに会社からアニメ化を提案してもらい、「そっちの方向でアプローチしてみよう!」と動き始めました。

――中丸さんの作品には見た目も性格も個性豊かなキャラクターがたくさん登場しますが、彼らはどんなインスピレーションを受けて生まれてきたのでしょう?

中丸:最初の頃、色を使わず毎回自由に描いていたら、少し気味が悪い絵ばかりになっていったんです。そうしたら当時のマネージャーさんから「女の子は好きになれないから、もうちょっとポップにした方がいい」って言われて…。「確かに」と思って、イラストの描き方やいろんな(道具の)使い方を変えていったことでキャラクターのビジュアルが完成していきました。今回のショートアニメには、都市伝説的な少し気味の悪い要素が入ったストーリーもあるので、そういった部分で僕の好みもミックスされています。

――それぞれのキャラクターが生まれた瞬間を覚えていますか?

中丸:直感で描きたいキャラクターを繰り返し描いていたので自然発生的に生まれた気がします。明確だったのはマネージャーさんの「かわいいキャラクターを描いて」って指示のみだったので、名前とかもシンプルでかわいくて覚えやすいものになるように作っていたと思います。

――数いる中から、本アニメの登場キャラクターとして、きっくん、もぐら(CV:大塚明夫)、いか(CV:杉田智和)たちを選んだ理由とは?

中丸:10年近く連載が続き、少しずつキャラクターが増えていく中で気づいたらレギュラー化していたメンバーがきっくんたちなんです。ほかにもキャラクターはたくさん描いていたはずなんですけど、自分の中でバランスとかを考えているうちに本能的にこのメンバーが残りました。

――地球外生命体なのに“地球が大好き”という設定も面白くて魅力的です。この設定はどのように考えついたのでしょう?

中丸:理由もなく好きな絵を描いていた時にファンタジーっぽい世界に自然となっていったんです。そこから“宇宙にいる子たち”みたいなざっくりとした設定を付けるようになり、コロナの時に(4コマ漫画を)描くことになって。当時ってコロナの存在がどんなものか世の中的に分からなくて、日々情報が更新されるような時期がありましたよね。その時に、ただの4コマ漫画じゃなくて、読んだ人が(コロナの)最新情報を得られるような内容にしたいと思ったんです。そこから厚生労働省とかが発表する公的な情報を逐一確認して、その情報を盛り込んだ漫画を毎日出しました。偶然ですが、UFOのようなファンタジー要素とコロナに関する情報が混ざり合い、めちゃくちゃ現実的なストーリーになりました。

■豪華キャストとの共演で感じた“プロの現場”

――先ほど、マネージャーさんから「かわいいキャラクター」という要望があったと伺いましたが、中丸さんが絵を描く時に大切にしていることを教えてください。

中丸:根本的には自分の中のストレス解消なんですけど、雑誌に載るとか4コマ漫画になって社会的意義があるものになるかもしれないとか、そういう要素を持ってからは「1mmでも楽しんでもらいたい」という気持ちで描いてました。都市伝説みたいに自分が面白いと思う要素も入っているので、それに共感してもらえたら1番うれしいですね。

――本作できっくんの声優を務めている中丸さんの脇を固めるのは、つんつん役の南條愛乃さん、もぐら役の大塚明夫さん、いか役の杉田智和さん、歯くん役の仲村宗悟さんたち豪華声優陣です。収録は皆さんそろって実施されているそうですが、ご自身の絵が動いている様子や声が吹き込まれる瞬間を見た時はいかがでしたか?

中丸:めちゃくちゃ感動しました! 今は絵を描く時にタブレットを使っているんですけど、最初の頃は言わば落書きの延長みたいな感じで自分の机で鉛筆とサインペンを使ってアナログで描いていたんです。自分なりに丁寧に描いてはいましたけど、サインペンで描いたキャラクターが、超一流の声優さんに命を入れてもらって動いてるのを見ると、独特の感動を覚えましたね。

――プロの声優さんたちと一緒に収録を行う環境は、ワクワクしますか? 緊張しますか?

中丸:ワクワクしながらやってますけど、声優のお仕事の経験が数えるほどしかなくて。環境的にはプロの方たちの環境なので、テンポがめちゃめちゃ早い中で半ば混乱状態でやってました(笑)。ただ、皆さん経験豊富なので教えていただいたり僕がセリフの言い方を間違えてしまっても後のやり取りで自然にフォローしてくださったりして、なんとか形にできました。

僕が思ってる以上にライブ感がありますね。声優さんも遊び心があるのか、いろいろと試したりもしていて、テストと本番で違う表現をして収録が終わった後にみんなで笑うなんてこともありました。セリフは変えないんですけど、表現の仕方や言い方を工夫されていることもあって、こういう感じで作るんだなと思いました。

――「声優さんってすごい」と思った具体的なエピソードはありますか?

中丸:録る工程として、まずテストをするんです。その時に初めてアニメーションがどういう感じだとか、キャラクターがどういう動きでどんな表情をしているかを知るわけです。初見で声を当てたテストが終わると、すぐに本番になるのですが、その時点ですでに完成していて。僕の感覚だと「テストをあと2回か3回やった方がいいんじゃないか」って思うんですけど、皆さん慣れているのか、1回見て把握して、イメージで声を当ててジャッジして。本番の1発目で完成されたものを当てるスピード感に驚きました。

大塚さんにどうやっているのか聞いたところ、大塚さんは映像の一部が視界に入っていれば台本でセリフを確認しながらでも自分の喋るタイミングが分かるらしいです。素人だと「台本と映像のどっちを見ればいいの、台本を読んでたら喋るタイミングが分かんないじゃん」って感覚になるんですけど雰囲気で感じるらしいですね。

■きっくんたちを広めるための次の目標は?

――そんなプロの声優さんたちと共演する中で、中丸さんがきっくんを演じる時に意識しているポイントがあれば教えてください。

中丸:キャラクターはある程度決まっていて、みんなが被らないような特徴や個性を乗っけているつもりです。きっくんは普通というか、飛び抜けて変なことをしないキャラクターなので、周りと比べてフラットでいるべきって気持ちでやってます。

――現状、ご自身の演技に手ごたえは感じていますか。

中丸:アフレコの経験も少なく、技量的にももちろん足元にも及ばないので、どちらにせよフラットな感じになっているのではないかなと。そういった意味ではよくできていると思いますね。

――共演される方々のアドバイスを受けて、声優・中丸雄一の成長した姿を今後見られるかもしれない?

中丸:もしかしたらあるかもしれません。13本録り終えているのですが、ヒィヒィ言いながらも一応自分の中では納得できているので、もっと表現力豊かになれればそれに越したことはないですね。どちらにせよ貴重な経験なので、一流の皆さんのテクニックをまばたきしないように見たいと思います。

――“絵本”という目標も残っている中で、きっくんたちを今後どのように世間へ広めていきたいですか?

中丸:これもアニメ化が決まる前からの1つの野望なんですけど、かわいいキャラクターたちなのでグッズ展開とかは必ずしたいですね。

――作ってみたいものがある?

中丸:これがないんですよね。これもプロの方がいらっしゃると思うので、その時に流行っているものとかを踏まえて愛されるグッズを考えていきたいです(取材は6月初旬に実施)。

――ご自身でもイベントのグッズをプロデュースされていますが、アイデアはどこから?

中丸:基本的には自分が欲しいものですね。自分が使わないのにファンのみんなが必要としてくれるのか心配というか。もしかしたら、いずれその時の僕が欲しいと思ったものがきっくんたちのグッズとして出てくるかもしれません。

(取材・文:咲枝ナノ 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc])

 ショートアニメ『地球大好き!きっくん』は、7月1日(水)よりTOKYO MXにて毎週水曜『5時に夢中!』(毎週月曜〜金曜/17時00分)内で放送。『きっくんのちょい足し!』は、7月2日(木)よりTOKYO MXにて毎週木曜7時30分放送。