長年の異常な眠気や不調の背景には、鼻の骨の出っ張りなどによって引き起こされた睡眠時無呼吸症候群があると判明した小島可奈子さん。鼻と喉の手術をすることになりますが、「何度も入院するより一気に済ませたい」と同時に手術することを決意します。しかしこの決断が、想像を超える過酷なダウンタイムを招くことになったのです。

【画像】大量の鼻血、壮絶な喉の痛み「今も違和感消えず」睡眠時無呼吸症候群の手術受けた小島可奈子の後悔(写真15枚)

「長年の不調から解放される」と期待があった

手術後、鼻下のマスクをとって、パンパンの鼻で息ができるか確認中

── 長年悩まされてきた異常な眠気の正体が睡眠時無呼吸症候群だと判明し、治療のために手術を受けたことを公表された小島可奈子さん。ただ、そこに至るまで、なかなか原因にたどり着けなかったそうですね。

小島さん:最初は「CPAP(シーパップ)」という、寝ている間にマスクをつけて空気を送り込む医療機器で治療を試みました。ただ当時は赤ちゃんがいて、機械の音の大きさや装着している時の息苦しさもあり、続けることができなかったんです。

その後、病院で申し込んだ自宅用の簡易検査でも「異常なし」と言われ、すっきりしない時間が続きました。どうしても諦めきれずに別の病院を受診すると、ようやく「鼻の骨の出っ張り」や「アレルギーによる粘膜の腫れ」、さらに「喉の奥の組織の厚さ」が空気の通り道を狭くしている原因だとわかったんです。それらを取り除けば、長年の不調から解放されるかもしれない。そう期待して、手術を受ける決意をしました。

── 鼻と喉、それぞれどのような手術を受けることになったのでしょうか。

小島さん:鼻は、出っ張っている骨を削って空気の通り道を広げる手術です。それに加えて、アレルギーで過敏になっている部分の処置も受けました。喉は、空気の通りを邪魔している厚い部分を切除するという内容でした。ただ、ここで私、大きな選択ミスをしてしまったんです…。

焦ってくだした判断が過酷な状況を招いた

手術後、最初の夕食の写真

── 選択ミス?どういうことでしょう。

小島さん:先生から「鼻と喉を別々にやる方も多いですが、どうしますか?」と聞かれたんです。でも当時は娘の入学式なども控えていて慌ただしい時期でした。「何度も入院するより、一気に済ませたい」と思い、「一緒にお願いします」と即答したんです。その決断が、のちに過酷なダウンタイムを招くことになりました。

── 鼻の中の骨を削り、喉も切る。かなり大掛かりな手術ですよね。恐怖心はありませんでしたか。

小島さん:今考えるとそうなのですが、あの時は、この手術を受ければ、これからの健康人生が変わるかもしれないという期待が大きかったんです。

鼻だけの手術なら日帰りでできる場合もあるそうですが、私は1泊させてもらいました。知人から、鼻の手術後に詰めた綿を取る時「気絶するくらい痛かった」と聞いていたので、術後のほうがむしろ不安だったんです。

── 懸念されていた術後はいかがでしたか。

小島さん:目が覚めた瞬間から、鼻がパンパンに腫れ上がっていました。鼻には大量の綿が詰められ、空気を通すための管も血で固まって機能しません。絶え間ない鼻血が続き、しばらくはガーゼを替え続けました。

ですが、それ以上に喉の痛みが壮絶でした。私の場合、喉の切除した部分は縫合せず、傷口が露出した状態で自然に治るのを待つしかありませんでした。数日経つと切り取った傷口が白く変色し、喉の上の全体が巨大な口内炎のようになりました。

── 鼻には綿が詰まって息ができず、のどは巨大な口内炎のような状態…。想像するだけでも壮絶です。

小島さん:口呼吸しかできないので、息を吸うたびに空気が傷口に当たり、乾燥して真っ赤に腫れ上がるんです。それが痛いのなんの…。加湿器をフル稼働させて、使い捨てマスクの内側に濡れた脱脂綿を仕込んだ自作のマスクをつけてなんとか耐えるしかありませんでした 。

食事もお粥しか食べられません。ネットで勧められていたアイスクリームもしみるので、スポーツドリンクをストローで吸って喉の奥へ直接流し込んでいました。強い痛み止めを2週間飲み続けたため、お腹もくだしました。術後2か月半が経った今も、喉の違和感は完全には消えていません。

あの2週間の苦しみを味わわないためにも

── まさに満身創痍の状態だったのですね。事前に聞いていた「綿を抜く恐怖」にはどう対抗したのですか。

小島さん:「気絶するほど痛い」と聞いていたので、事前に綿棒で血の塊を少しずつ取り除くなど、自己流で対策をして臨みました。その甲斐あってか、痛みは我慢できる程度でしたが、鼻の奥深くに入り込んでいた大量の綿を一気に引き抜かれる瞬間は、不快感と異物感が凄かったです。

── 壮絶な2週間を経て、呼吸や体調はどう変わったのでしょうか。

小島さん:綿が抜けて鼻うがいを続けるうちに、これまで経験したことがないほどスースーと空気が通るようになりました。ようやく手に入れた「鼻呼吸」に感激しましたね。

変化は睡眠だけでなく、体全体に現れました。慢性的にガチガチだった肩が、術後に驚くほど柔らかくなったんです。無呼吸による夜間の緊張状態から、ようやく体が解放されたのだと思います。朝の目覚めも格段に軽くなり、以前高めに出ていた血圧も落ち着きました。

ただ、長年の癖で無意識に息を止めてしまうことがあるため、夜間は口元にテープを貼るなど、今も鼻呼吸の定着を意識しています。もし無呼吸症に悩んでいるなら検査をお勧めしますが、私の経験から言えるのは、鼻と喉の同時手術はおすすめしません。あの2週間の苦しみを味わわないためにも、まずは段階を踏むことを強くすすめます。

取材・文:西尾英子 写真:小島可奈子