さすがの北朝鮮警察も動揺した「一家全滅の刑」の悲惨な実態
米上院で今月24日、2022年9月に期限が切れていた「北朝鮮人権法」の再承認と延長を求める法案が再提出された。可決すれば、この間、追及の緩んでいた北朝鮮の人権蹂躙が、米国で再び注目を集めるきっかけになり得る。
北朝鮮に数多くある人権問題の中には、体制維持のために意図されたものもあれば、そうではなく法制度の未整備により惹き起こされるものもある。後者の例のひとつが、両親が教化所(刑務所)送りとなった場合、幼い子供が放置されてしまう問題だ。
デイリーNK内部情報筋によれば、北部・咸鏡北道安全局(地方警察本部)は3年ほど前、こうした実態を問題視し、夫と妻がともに刑が確定した場合には収監開始日を遅らせよとの指示を各市、郡の安全部に下した。
これは、安全局が教化所(刑務所)収監者を対象に行なった調査に基づく措置だ。夫と妻がともに教化所に収監されることになれば、その子どもたちは取り残されてしまう。両親ともに亡くなった場合には育児院、愛育院、初等学院、中等学院などの孤児院に収容されるが、教化所に入れられた場合は、その対象にはならないようだ。
子どもたちは、誰のケアも受けられず、コチェビ(ストリート・チルドレン)となってしまう。それが心配で、夫婦の受刑者が脱走を図る例が非常に多く、同様の事件の半分を超えるという。また、親が獄死して子どもが栄養失調などで死亡するようなことになれば、結果的に「一家全滅の刑」が下されたのと同じになってしまう。
(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態)
そこで、安全局は両親のどちらか一方が子どもの問題を解決するまで、収監を延期したという次第だ。ただしこれも時限的な措置であり、その後はどうなったか不明だ。
こうした措置について市民の一部からはこんな声が上がっていたという。
「乱造された取締り法のせいで逮捕者が激増しているが、父母のうちどちらかを残さなければ子どもを育てられず、面会にも行けない。刑務所の中でも外でも食べ物を確保するのが難しい状況で、両親ともに教化所に入れられれば、家族と子どもの運命がどうなるかは考えずともわかる」

