東京の味噌ラーメンの名店3選 香りとコクの虜になる
食べた瞬間の感動はもちろん、お腹と心が満たされてもなお口の中に残る心地の良い余韻が胸を打ち「また食べたい」と思わせる。それが50歳を超えても気にせず食べられる一杯ではないでしょうか。今回は50歳からでもおすすめの味噌ラーメンにこだわって厳選しました。
和のダシと味噌がまあるく溶け合うやさしき味わい『らぁめん一福』@初台
厨房を切り盛りするのは石田久美子さん。おだやかな笑顔も佇まいもなんだか実家の母を思わせる。主婦から転身し、この店をオープンしたのが35年前。
「修業したわけではないし大したことはやってないのよ」と控えめに語るけれど、いやいやこれは間違いなしに大した一杯だ。
味噌らぁめん1120円

『らぁめん一福』味噌らぁめん 1120円 塩分はおだやかでも、ダシの風味が広がり味の輪郭をはっきりと立たせている
湯気に乗ってやってきたのは麹の甘い香り。スープを啜れば厚削りのカツオ節や昆布、干椎茸を炊いた和の風味から6種類を合わせた味噌のコクが複雑に立ってくる。とはいえ客の健康を気遣って無化調を貫き、塩分も油も控えたやさしき風情。丼にドボンと飛び込んで包まれたい気分になってくる。
それでも分厚く歯応えのあるチャーシューは力強く、粗めに切ったねぎや秘密のカリカリの食感はおちゃめ。そんな作り手の人柄もしみじみ伝わるような一杯だ。

『らぁめん一福』
[店名]『らぁめん一福』
[住所]東京都渋谷区本町2-17-14小泉ビル1階
[電話]03-5388-9333
[営業時間]11時半〜14時※無くなり次第終了
[休日]月・火・金
[交通]京王新線初台駅北口から徒歩12分
江戸甘味噌の上品な甘みとコクを感じる伝統の味『食堂七彩』@都立家政
仙台や信州と同じく東京にも土着の味噌がある。それが「江戸甘味噌」。震災や戦争を経て蔵はほぼ消失してしまったものの、わずかに残った伝統の味をこの場所からラーメンで発信している。
Tokyo味噌1200円(味玉+250円)

『食堂七彩』Tokyo味噌 1200円(味玉+250円) 塩分は控えめで甘みとコクでスープ芯を通す。麺量も「大」(250g)まで同料金というのも頼もしい
丼になみなみのスープは濃い茶色。ストロングな味を想像していたら肩透かしを喰らった。まず舌を包むのは品のいいまろやかな甘み。続くほのかな渋みや米麹の熟成香が、親鶏や薩摩本枯節、伊吹イリコを煮込んだダシとスムーズに調和する。
存在感ある麺は自家製でしかも手打ち。なめらかな啜り心地から噛むほどに小麦の風味が立ってきて、それがまた味噌の風味を広げてくれる。江戸の庶民がどじょう汁や田楽で楽しんだというこの味噌も、今じゃこんなにも洗練された味わいに。
東京が生んだ味噌ラーメンがここにある。

『食堂七彩』店長 三次馨さん
店長:三次馨さん「酒のおつまみになるサイドメニューも豊富です」

『食堂七彩』
[店名]『食堂七彩』
[住所]東京都中野区鷺宮3-1-12
[電話]03-3330-9266
[営業時間]11時半〜15時、18時〜翌1時、土・日・祝:11時半〜20時半
[休日]火
[交通]西武新宿線都立家政駅北口から徒歩2分
“焼き入れ”でぐっと深まる香りとコク『あさひ町内会』@板橋区役所前
「味噌ラーメンを食べた杯数は誰にも負けない」と胸を張るのが店主の本山さん。そもそも生まれは札幌の隣の石狩だからラーメンといえば味噌が当たり前。大人になり一旦は就職したものの、想いは止まらず名店『すみれ』の門を叩いた。
それから十数年。札幌のほか、支店のあった静岡、福岡など各地で店長を務めつつ食べ歩き、いよいよ独立となった時にあえて選んだ地は強豪ひしめく東京だった。
味噌らーめん1200円

『あさひ町内会』味噌らーめん 1200円 スープは豚骨に魚介節や昆布を合わせ後ひく旨みに仕上げる。途中で生姜を溶くとシャープな味わいに
そんな自慢の一杯に挑んでみれば、鉄鍋でラードと共にしっかり“焼き”を入れた味噌の香り・コクが鮮やかに立ち、ほのかな渋みも味に厚みを出している。とはいえ2種類の麹味噌や隠し味の豆乳で全体の印象はマイルド。
一方の「20年前に恋した」は味噌の濃さもラードもぐぐいと増量。ガツンと来る、まさに漢の一杯だ。

『あさひ町内会』店主 本山敬也さん
店主:本山敬也さん「ミニカレーも人気。ラーメンと一緒にいかが?」

『あさひ町内会』
[店名]『あさひ町内会』
[住所]東京都板橋区板橋3-5-1リビオタワー板橋1階
[電話]03-6915-5569
[営業時間]11時〜14時50分LO(土・日・祝:15時LO)、17時〜20時半LO
[休日]月
[交通]都営三田線板橋区役所前駅A1出口から徒歩4分
撮影/大西陽(一福)、小島昇(食堂七彩、あさひ町内会)取材/菜々山いく子
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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※月刊情報誌『おとなの週末』2026年2月号発売時点の情報です。
