『あんぱん』写真提供=NHK

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 やなせたかしとその妻・小松暢をモデルにしたNHK連続テレビ小説『あんぱん』は史実に基づきながらも、フィクションの要素も多数含んだ作品だ。やなせと暢が実際に出会ったのは終戦後だが、ドラマでは幼なじみの設定。のぶ(永瀬ゆずな)の実家が石材屋を営んでいるという設定もドラマオリジナルであり、先の読めない面白さがある。

参考:『あんぱん』第7話、のぶ(永瀬ゆずな)が朝田家を救うべく草吉(阿部サダヲ)を連れてくる

 4月7日から始まった第2週では、朝田家がパン作りを始めることに。きっかけは、のぶの祖父・釜次(吉田鋼太郎)が怪我を負ってしまったことだった。

 結太郎(加瀬亮)の突然の死で不幸のどん底に突き落とされるも、“ヤムおんちゃん”こと草吉(阿部サダヲ)が作ったあんぱんで生きる力を取り戻した一家。少し元気が出てくると、今度は現実的な問題が襲ってくる。

 結太郎が亡くなったことで、朝田家の稼ぎ頭は釜次だけになってしまった。釜次は息子が遺した妻と子を自分一人で食わせていくつもりだったが、羽多子(江口のりこ)はまんじゅう屋からもらってきた内職を始める。

 羽多子の背中を押したのは、「女子も大志を抱け」という結太郎の生前の言葉だ。その遺志を継ぎ、自分で稼いで娘たちの学費を貯めようとする羽多子。愛する夫を亡くした悲しみから気を逸らすためでもあるのかもしれない。江口のりこが演じる羽多子はしなやかな強さを感じさせる人物で、なるほど、のぶの母親だという説得力がある。積極的に前に出るタイプではないが、影響力は絶大だ。

 娘たちはもちろん、くら(浅田美代子)は羽多子の内職を手伝い、釜次もより一層仕事に励む。そうしてみんな悲しみを乗り越えようとしていたところに、またもや悲劇が。まだ幼いメイコ(永谷咲笑)が釜次の作業場に入り込んでしまい、釜次の弟子である豪(細田佳央太)が安全な場所に避難させようとしたその時、石材が倒れてくる。そして、咄嗟に2人を庇った釜次が石材の下敷きになってしまう。

 そのせいで怪我をしてしまい、思うように仕事ができなくなってしまう釜次。4月8日の放送では、のぶが店の石材を使った石窯で草吉にパンを焼いてもらうことを思いつくという。良いアイデアだが、それに釜次が納得するかどうかはまた別。というのも、釜次と草吉は折り合いが悪い。その原因は草吉の純粋にいい人とは言えない性格だ。いつも無償でパンを提供している『アンパンマン』のジャムおじさんとは違い、大人からはしっかり代金を回収するスタイルの草吉。弱っている朝田家にも遠慮なく代金をもらいにいき、釜次から門前払いされる。結局、くらがヘソクリで払ったが、釜次の怒りは収まっていまい。そのため、いくら家がピンチとはいえ、草吉に頼るなんて釜次のプライドが許さないだろう。昔かたぎで頑固な釜次をのぶは果たして説得できるだろうか。

 一方、健気に登美子(松嶋菜々子)の帰りを待つ嵩(木村優来)は寛(竹野内豊)からあるものを見せられる。それは、出版社に勤めていた亡き父・清(二宮和也)が手がけた雑誌『少年倶楽部』。実際に大日本雄弁会(現・講談社)から刊行されていた少年誌で、漫画も掲載されており、嵩は夢中になる。のちに自分が国民的漫画家になることをまだ知らない嵩のキラキラと輝く瞳が印象的だった。(文=苫とり子)