【+αオンライン編集部】死刑囚を絶対に「名前」で呼んではいけない「納得の理由」…死刑に立ち会った刑務官が明かす

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日本では死刑判決はどう行われ、死刑囚はどんな生活をして、死刑はどう執行されるのか。前編に引き続き、漫画家・一之瀬はちさんが実際に死刑に立ち会った刑務官に取材した『刑務官が明かす死刑の話』を取り上げる。

自殺防止が徹底されている

死刑囚の部屋

死刑囚は拘置所内で隔離され、「死刑囚しかいないエリア」で生活する。その部屋は、1人1室。4畳ほどで窓、洗面台、トイレ、畳のスペース…と刑務所の独居と一見してそう変わらない。

「決定的に違うのは自殺防止に特化されているということです」(取材したM刑務官)

窓は航空機にも使用される割れない特殊ガラスで、遮蔽版で外が見えないようになっている。洗面台の鏡はフィルムが貼られ割れにくい工夫がされていて、蛇口は首吊りのヒモをかけられないようボタン式だ。

「極めつけは24時間監視カメラで監視し、そのために夜中も薄明り状態にしていること。結構明るいから最初は寝られない死刑囚も多い」(M刑務官)

名前が分かってしまえば…

死刑囚の呼び名

「一般受刑者と死刑囚の差は名前の呼び方にもあります」(M刑務官)

普通受刑者は「000番」といった称呼(しょうこ)番号で呼ばれるが、累犯受刑者(※何度も服役している人)は名前で呼ぶことも多いという。

「ところが死刑囚の場合、『絶対に』称呼番号で呼ばなくてはならなくなる。それは他の死刑囚への配慮のためなのです。死刑囚は基本的に隣の部屋に誰が入っているか分かりません。そのためトラブルも起きにくいのですが、名前が分かればトラブルにもなりやすい」(M刑務官)

また、事件の内容について知れば、(隣の××って奴5人殺してるのか…。7年目だからそろそろ死刑か…? すると次はオレ…?)というように死刑が早いか遅いかも何となく読めてしまう恐れがある。

「そいうった気配りのひとつなのですが、有名死刑囚だとうっかり名前を呼びそうになる」

本記事では死刑囚の暮らしについて取り上げた。死刑制度は賛否両論があり、どちらの考え方が正しいという性格のものでもない。だからこそ、今一度「死刑」について深く考えるきっかけになるかもしれない。

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