《研修報告書はどうなった?》大臣政務官・今井絵理子と生稲晃子への批判の根本にある、いまだ抜けない「芸能人気質」

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11月13日に発表された第2次石破内閣の副大臣・政務官人事を巡って、波紋が起きている。元アイドルの今井絵理子参院議員と生稲晃子参院議員が大臣政務官に起用されたからだ。かねて激しい批判にさらされてきた彼女たちはなぜ選ばれたのか。

前編記事『《なぜ批判されるのか》今井絵理子と生稲晃子「大臣政務官の資質」と、石破「だらし内閣」の限界』に引き続き、その理由について報じる。

いまも抜けない芸能人気質

衆参合わせて713人の国会議員の中で、国民からの風当たりが強い傾向にあるのが、元アイドルやタレント出身の代議士たちだ。とりわけ参議院議員の今井絵理子氏と生稲晃子氏には厳しい目が向けられていた。

そんな彼女たちを大臣政務官に起用したことで、石破内閣に対して国民から厳しい声が寄せられている。

今井氏は第4次安倍第2次改造内閣でも大臣政務官を務めており、今回2度目の起用となる。

そんな今井氏の言動はこれまで炎上傾向にあり、批判も相次いでいた。ジャーナリストの千葉春子氏はその理由ついて、次のように説明する。

「いつまでも芸能人気質が抜けないところと、勉強不足な点が彼女の問題です。

お子さんに聴覚障がいがあり、たしかに障がい児者への支援や手話推進などの取り組みは積極的に行っているようです。

日本の聴覚障がい者の手話普及率は65歳未満で25%、65歳以上になると4.3%。特に中途失聴や加齢による難聴の場合、手話を覚えることはかなり大変です。

日頃から発言時には手話を使っているようですが、今後は手話ができない聴覚障がい者のことも課題といえるでしょう」

今井氏は今年3月の参院予算委員会で、手話を交えて質疑応答したことが話題を呼んだ。3つの質疑は手話を交えて答弁したのだが、4つ目以降からは手話はなく、それどころか口調も早く、聴覚障がい者への配慮が感じられなかった。

研修報告書はどうなった?

「手話を交えた答弁は前半の10分ほど。後半12分は手話もなく、早口でした。真に聴覚障がい者を思うなら、まず口の形がわかるよう、ゆっくりと話すべきではないでしょうか。今井氏はマスクを着用して、手話を使うこともありますが、それだと伝わりにくい。せめて口元が見えるタイプのマスクを使っては?

聴覚障がいの有無にかかわらず、ゆっくり話す、答弁の内容を要約筆記し画面に映すのは、誰にとってもわかりやすいもの。それらを取り入ればいいのに、やらない今井氏は、福祉的な観点から手話を使っているというよりも、パフォーマンスのように見えます。そうしたところに今井氏の『不勉強』ぶりが感じられ、批判の対象となっているのかもしれません」

さらに千葉氏は、「昨年7月に訪れたベトナム、自民党女性局のフランス海外研修、この2つ成果報告書について1年以上発表されていないことも、事態を悪化させている」と指摘する。

今井氏は以前、海外研修について、自身のFacebookで次のように持論を展開していた。

《海外研修に対して、「公金を使って無駄だ」という指摘もありますが、無駄な外遊ではありません。旅費についても党の活動ですから党からの支出と、参加者の相応の自己負担によって賄われています。

先のベトナム訪問についていえば税金を原資としたお金は1円も支出していません。逆に、公費で旅費が賄われる委員会視察など、公務での外遊ももちろんあります。

さきの訪越、この度の訪仏はとても実りあるものでした。これからも様々な国の方々との交流を積極的に行っていきたいと思います。また追って活動報告します!》(今井氏のFacebook2023年7月30日の投稿より抜粋)

批判を受ける根本原因

この時の海外研修について、「党の活動費や自己負担で税金は使っていない」と主張していた今井氏。とはいえ、各政党に交付されている政党交付金も、国会議員の歳費も国民から徴収された税金で賄われている。

いくら党の委員会などの活動だとしても、国会議員として税金で海外に赴くのだから、その報告をするのが筋ではないか。もし報告できないなら、その理由を速やかに伝えるべきだろう。

また今年5月には、体調不良で1ヵ月国会を“欠席”。これについては今井氏と交際中の”ハシケン”こと橋本健氏との喧嘩が原因だったようだと「週刊現代2024年6月8日・15日合併号」は報じている。

国会議員としての今井氏に批判が集まる理由はそれだけではない。代議士としての資質に対しても疑問の目が向けられている。

「国会白書によると、今井氏が単独での議員立法提出はゼロ。議員として目立った成果は出していません。むしろ炎上で注目されることのほうが多いくらいではないでしょうか。

そもそも不倫、略奪した相手を秘書として雇い、事務所に出入りさせていることが問題ではないでしょうか。すべてにおいて中途半端な点が、今井氏が批判される根本原因なのです」

候補者アンケートで無回答を連発した過去

もう一人、批判の渦中にいるのが、2022年7月の参院選で初当選した生稲晃子氏だ。

千葉氏は生稲氏について、「政務官として、官僚やほかの議員と議論できるほどに勉強が足りているわけではない」と指摘する。

「生稲氏は乳がんを患い、その経験から議員を目指した。そのため医療や介護、子育てなどを中心に訴えてきました。どちらかと言えば厚労大臣政務官のほうが合っているのですが、何人もの医療関係者がいる中でそのポストを得るのは難しい。外交問題にも関心があるようですが、どれほどの知見があるのか未知数です」

生稲氏には、今井氏に負けないほど世間をあきれさせた過去がある。

「初出馬した選挙の時のことです。彼女はNHKの候補者アンケートで『無回答』を連発しました。選挙特番などでも『不勉強』を理由に出演を拒否。意見を述べたかと思えば、先輩議員の回答を丸パクリしたこともありました。

そのため当時は政治の勉強をしよう、という姿勢が見えませんでした。知らないことは『知らない』と素直に答え、国民に真摯に向き合う姿勢も見れなかった。マイナスになることを隠すような芸能人気質はこの2年でどれほど変わり、何を学んだのでしょうか」

政務官ともなれば、その発言や動向の世間の風当たりは一般議員よりもずっと強くなる。スキャンダルは命取りだ。

「特に今井氏の言動は、多少のことでもすぐに炎上します。もしまた何か炎上すれば石破内閣はさらに窮地に追い込まれるでしょう。そのため『スピード解任』もあり得ます。次には先の衆院選で初当選した森下千里氏が控えていますから」

期待大の森下氏だが…

森下氏は2021年の衆院選で落選すると、宮城県石巻市に移住。毎日のように辻立ちをしたことで「辻立ちクイーン」と呼ばれるほどになった。

地道な努力で地元からの信頼も勝ち取ってきたという。元グラドルだったことから過去にはその不勉強ぶりも指摘されてきたが、それから数年経った現在、政治家としての期待度は森下氏のほうが上。今井氏や生稲氏に代わることは十分にある。

「今井氏も生稲氏も国民と向き合い、その声を聞き、さらに猛勉強して議員としての質を高めなければならない。芸能人気質はもう卒業です」

代議士としての仕事ぶりが国民に評価されれば、元アイドル議員たちへの見方も変わり、ひょっとすると石破内閣を救う救世主になるかもしれない。

ただ、現状ではこの呆れた人事が石破内閣の「SPEED総辞職」につながらないことを願うばかりだ。

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