夫の定年後を見据えたプレ老後から、定年後の暮らしまで。上手にやりくりして幸せに暮らす人のアイデアをご紹介。「ライフプラン表」を作成することで老後のお金の悩みから解放されたという、64歳のライフさんにお話を伺いました。

必要な金額がわかり、安心して使えるように

夫が作成したライフプラン表のおかげで、お金の心配をすることなく暮らしを楽しんでいるライフさん。

【写真】ライフさん夫婦の生活経費の内訳

「2人の子どもの学費の支払いが終わった50代半ばの頃、今度は老後資金を貯めなければと、節約に励んでいました。4歳年上の夫は60歳の定年後も、再雇用制度を利用してまだまだ働くものと思っていたんです」

ところが、夫は61歳で退職したいと宣言。そして、今後かかるお金について細かくシミュレーションしたライフプラン表を見せてくれたそう。

「表を見て、夫が61歳で退職しても、貯蓄と年金収入などを計算すると、お金は十分たりるとわかりました」

漠然と「老後のお金」と考えると、いくらあってもたりないように感じますが、かかるお金が明確になったことで、安心して使えるように。

「夫の退職から7年たった今も、お金に悩むことなく暮らしています」

「ライフプラン表」のメリット4選

ライフさんが実践している「ライフプラン表」の作成。どんなメリットがあるのでしょうか?

●かかるお金が明確になり、小さな幸せを満喫できる

ライフプラン表は、これまでつけていた家計簿をもとに、毎年かかる生活費を計算。「これまでどおりの暮らしを続ければ大丈夫とわかって、“お金がたりない”という欠乏感がなくなり、日々の暮らしに幸せを感じられるようになりました」

●旅行など、使いたいことにはしっかり使える

「夫婦そろって物欲はあまりありませんが、夫の現役時代は忙しくて行けなかった旅行には、元気なうちに行きたいと思っています」。退職後の10年間は、毎年60万円ずつを旅行の予算として確保し、使いたいところにはしっかり使います

●予算の範囲内ならOK。節約のプレッシャーから解放

以前は、生活費を少しでも節約して、貯蓄に回そうと考えていたライフさん。「常に節約優先にしなくても、予算の範囲内なら使っても問題ないとわかり、以前ならあきらめていたちょっと高価なお菓子を買うなど、プチぜいたくを楽しめるように」

●長生きしても安心。将来の心配ごとが消える

元気なうちはアクティブに過ごすためにお金がかかりますが、年齢を重ねれば、ライフスタイルはシンプルに。「入院や介護施設などのお金は多少の準備が必要ですが、日常にかかるお金は年金でまかなえるので、長生きしても安心とわかりました」

「ライフプラン表」のつくり方

「自分たちの暮らし方に合わせて、できるだけ正確に予測を立てることが安心につながります」というライフさん夫婦のライフプラン表。費目の立て方や計算の仕方、活用法などを解説!

●STEP1:費目はできるだけ細かく。日々の生活費から特別費まで想定して計算

A 生活経費

ライフさんが長年つけてきた家計簿をもとに、日々の生活費を細かい費目に分けて予算立て。「基本的な生活費のほか、クルマ関係の保険や車検、メンテナンス費用、医療費など、毎月ではなくても数か月から1〜2年のスパンで必ずかかるものは、ここに入れています」

B 特別費

クルマや家電の買い替え、自宅のリフォーム、旅行や学び直しなど、今後まとまったお金がかかる事態を細かく想定。「豪華な施設は考えていませんが、有料老人ホーム代は3 年間入所することを想定して確保しました」

C 公費

おもに税金と社会保険料。「所得税や住民税などの税金は、老後の収入と合わせて、しっかり調べて計算する必要があります。クルマ関係の税金は便宜上生活経費の方に入れました」

長年つけている家計簿は現在も継続。「多めにかかった費目があればほかで調整するなど、ちょっとしたやりくりは慣れているし、楽しくもあります。月の終わりに締めたら、エクセルの家計簿に入力して夫婦で共有しています」

●STEP2:夫は85歳、妻は96歳まで生きると仮定してプランニング

男女の平均寿命を考慮して、夫は85歳、妻は96歳まで生きると想定し、エクセルの表の横軸に年齢、縦軸に費目ごとの年間予算を入力。「基本的な生活費はほぼ変わりませんが、車検やクルマの乗り換え、免許返納、リフォームなど、ライフプランを考えて入力します」

●STEP3:年金などの収入を計算

年金などの収入も、年齢ごとに記入。年金をいつからもらうのか、また、基礎年金と厚生年金、企業年金のそれぞれの金額や、妻が1人になってからの金額についても、正確に計算して記入。「ここをきちんと確認することが、老後の安心につながります」

●STEP4:収入から費用の総計を引く

(A+B+C)−収入=必要な貯蓄額

STEP1で計算したA、B、Cの費用すべてをたした金額から、STEP3で計算した収入の合計額を引いた金額が、老後資金として必要な貯蓄額。「計算したところ、すでにある貯蓄と退職金を合わせた額で十分たりるとわかりました」

●STEP5:年末にその年にかかった費用を計算し、微調整を

月々の家計簿は継続してつけて、実際にかかった費用を計算。「年末に費目ごとの合計額をライフプラン表に書き入れ、計画どおりにいっているかを確認します。実情に合わせ、場合によってはその後の費目ごとの予算などを微調整」

ちょっとした「想定外」にはこう対処

ライフさんは「想定外」のお金事例にどのように対処しているのでしょうか?

●値上がりした光熱費は、プランの見直しでグンと安く

光熱費は値上がりが続いていますが、プランの詳細を確認して比較し、契約する会社を替えたところ、以前のほぼ半額に。「今のところ、予算の範囲内で収まっています」

●趣味のDIYで家や家具のメンテナンス

ちょっとした家具や家の修繕は、夫が趣味を兼ねてDIYで。「食器棚の取っ手を直したり、古びてきた壁を塗ったり。業者に頼むことを考えると、だいぶ安くすんでいます」

●YouTubeの収入は、家族との楽しみに使う

60代になって始めたYouTubeは、収入にも。「おこづかい程度のわずかな金額ですが、自信になりました。夫婦や子どもの家族と食事をするなど、みんなで楽しむことに使っています」