有給休暇を使いきることができず20日残った状態で退職しました。できれば消化したかったのですが、余った有給分の買い取りってしてもらえるのでしょうか?

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退職時に有給休暇を使い切れなかった場合、買い取ってもらえないのかと疑問を抱く方が多いでしょう。 有給休暇は労働者にとって重要な内容であるため、基本的な知識を持っておくことは、自分を守る上で大切です。 本記事では、在職中や退職後の有給休暇の買い取りについて解説しますので、退職を検討している方はぜひ参考にしてください。

有給休暇とは

有給休暇とは、一定の要件を満たす労働者に付与される休暇のことで、「有給」とも呼ばれます。労働者のリフレッシュや、ゆとりのある生活を保障することを目的としており、休暇中も給与が支給されます。
有給休暇が付与される要件は、以下の2つです。

・雇用開始から6ヶ月間継続して勤務している
・全労働日の8割以上に出勤している

これらの要件を満たすと、「10日以上」の有給休暇が付与されます。

有給休暇の買い取りは原則NG

会社が労働者の有給休暇を買い取ることは、原則として認められていません。
これは、有給休暇が本来、労働者のリフレッシュや生活のゆとりを確保するために設けられた制度であり、業務から離れて休息を取るためのものだからです。そのため、会社は有給休暇を買い上げるのではなく、労働者にしっかりと取得させる義務があります。
ただし、法定の有給日数を超えた分については、例外的に買い取りが認められることもあります。

有給休暇の買い取りが認められるケース

有給休暇の買い取りは基本的に認められていませんが、「法定日数を超える有給休暇」「時効を迎えた有給休暇」「退職時に未消化の有給休暇」の3つのケースでは例外的に買い取りが認められています。
どのケースで有給休暇の買い取りが認められるのか、事前に理解しておくことは大切です。
本項では、有給休暇の買い取りが認められる3つのケースについて見ていきましょう。
 

法定日数を超える有給休暇

福利厚生の一環として、労働基準法で定められた有給休暇日数を超えて付与されている場合、超過分を会社が買い取ることが可能です。
例えば、有給休暇が法定の10日で、福利厚生としてさらに7日が付与されている場合、7日分の休暇は買い取りの対象となります。
 

時効を迎えた有給休暇

有給休暇には2年の期限があり、付与日から2年が経過すると自動的に消滅します。1年以内に使い切れなかった有給は翌年に繰り越せますが、さらにその翌年も消化されない場合、時効によって消滅します。
時効で消滅する有給休暇については、会社が買い取ることが可能です。すでに権利を行使できなくなったため、買い取りによって労働者が不利益をかぶることはないからです。
 

退職時に未消化の有給休暇

労働者が退職時に有給休暇を残している場合、会社はその有給休暇を買い取ることが可能です。
労働者の退職前は引き継ぎなどで忙しく、退職してしまうと有給休暇を取得できなくなるためです。そのため、会社は労働者の同意を得た上で、未消化の有給日数を買い取れます。

有給休暇の買い取りに関する注意点

有給休暇は基本的に買い取りが認められていませんが、法定日数を超える場合や退職時に未消化の有給がある場合など、例外的なケースでは買い取りが可能です。
ただし、注意が必要なのは、これらは在職中(退職前)の話です。退職すると、未消化の有給休暇はすべて消滅してしまいます。
そのため、未消化分の有給休暇がある場合は、退職前に取得するか、例外的なケースに該当する場合には買い取ってもらう必要があります。
退職によって有給がゼロになることを理解しておきましょう。

有給休暇の買い取りが可能か会社や専門家に確認しよう

在職中に有給休暇の消化が難しく、買い取りを希望する場合は、会社や専門家に相談してみましょう。法定日数を超える有給休暇や時効を迎えた有給休暇などの場合には、買い取ってもらえる可能性があります。
退職後は有給休暇が消失し、次の職場に持ち越すこともできないため、在職中にしっかりと対処することが大切です。ほとんどの職場で有給休暇は関わってくるため、仕組みやルールを理解しておきましょう。
 

出典

厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト 年次有給休暇とは
厚生労働省 和歌山労働局 主な相談内容(事業主の方へ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー