夏休みも終わりに近づいた8月24日、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が島根富士通と共同で「第17回 富士通FMVパソコン組み立て教室」を開催。毎年恒例のイベントで、今年も20組の親子が“匠”の技術が凝縮された超軽量モバイルPC「LIFEBOOK UH」の組み立てを体験しました。参加者は、小型軽量を研ぎ澄ませたパーツの組み立てに苦戦しつつも楽しんでいましたが、一番笑顔が輝いていたのはイベント初参加となったFCCLの大隈社長だったかもしれません!?

毎年恒例の富士通FMVパソコン組み立て教室、富士通クライアントコンピューティングの大隈健史社長(右)も組み立てに初挑戦。LIFEBOOK UHの軽さを達成するための小型軽量化の工夫に驚きつつ、参加者と一緒に楽しんでいました

デスクトップPCではなく、世界最軽量ノートPCを自分で組み立てる!

富士通FMVパソコン組み立て教室は、抽選で選ばれた20組の親子が、最先端の技術が満載されたモバイルノートPCを組み立てるという毎年夏恒例のイベント。応募資格は小学5年生〜中学3年生で、当日は保護者1名に加えて同行者も1名まで参加できます。会場となる島根富士通は島根県出雲市にありますが、毎年全国から応募が寄せられるほどの人気イベントとなっています。

第17回 富士通FMVパソコン組み立て教室が開催された、島根富士通の本社工場(島根県出雲市)

ショールームには、島根富士通が生産したモデルも展示。累計生産台数4000万台記念して、天板部分を八雲塗で加工したモデルがひときわ存在感を放っていました

パソコン組み立て教室が始まる前に、参加者が集合して記念撮影。小学5年生から中学3年生まで、幅広い年齢層の子どもが参加

今回組み立てるのは、モバイルノートPC「LIFEBOOK WU-X/H1」または「LIFEBOOK WU2/H1」。富士通 WEB MART(富士通クライアントコンピューティングの直販サイト)で販売されているモデルで、参加者は申し込み時に選択できます。

LIFEBOOK UHは“軽さ”がウリのシリーズで、組み立ての対象になった『LIFEBOOK WU-X/H1』は重量がわずか約689gで、14型ノートパソコンとしては世界最軽量のモデル。富士通クライアントコンピューティングと島根富士通が誇る“匠の技術”が凝縮された逸品です。それを“自分の手で作れる”となれば応募が殺到するのもうなずけます。

会場に案内され、作業スペースで着席してパソコン組み立て教室の開始を待つ参加者。今回は、保護者1名に加えて同行者の参加も可能になり、家族で参加した人も

パソコン組み立て教室の冒頭に、富士通クライアントコンピューティング代表取締役社長の大隈健史さんが挨拶。「パソコンがどのように作られているかを知ってもらえるのはとてもうれしい」と話していたのが印象的でした

恒例となった石見神楽バージョンの無人搬送車(AGV)で、組み立てに必要なパーツが会場に運び込まれてきます。参加者は、無人搬送車からパーツの入ったボックスを受け取り、組み立ての準備に取りかかります

作業スペースには、組み立てに必要な工具やネジ、SSDなど、一部のパーツが用意されています

あらゆるパーツがとっても小さい!

主要なパーツを受け取ったあと、エプロンと手袋を身に着けて準備が整えば、いよいよ組み立て作業が始まります。

組み立ては、会場中央のスタッフの案内に従って作業を進行する形式。各テーブルには作業内容を表示するタブレットが設置されていて、そちらでも作業内容を確認できるようになっています。島根富士通のスタッフも付き添ってくれるので、司会のスタッフの指示を聞き逃してもちゃんと作業の内容を教えてくれます。

司会スタッフの指示に従って、順調に組み立て作業をこなす参加者

保護者と相談したり手伝ってもらったりで、家族が一丸となって楽しそうに作業を進めていました

実際の組み立てがスタートし、作業テーブルに置いたパーツをじっと眺める筆者。部品や配線など密集度がハンパではなく、匠の技の凄さを実感しました

実際に作業をしてみた感想は“何もかもが小さすぎる!”。筆者は自作パソコンを組んだこともあるし、ノートパソコンを分解してパーツを換装した経験もあります。それでも作業が難しく感じるほど部品が小さく、作業に精密さを求められるのです。特に「キーボードネジ締め」に使ったネジは緊張しました。いままで見たことがないサイズで、なかなかドライバーの先端にセットできず、不器用さを露呈してしまいました。

世界最軽量の技術力を痛感させられたのが、序盤の作業で使うこのネジ。とにかく小さい!

ドライバーの先端にセットするだけでも四苦八苦。サポートスタッフから「力を入れすぎるとネジが折れます」と言われ、小心者の筆者は焦りまくりました

組み立て作業に集中している子どもを見守る保護者と同行者。大きな問題もなく、作業手順が進んでいきます

小学生と思しき参加者も、細かな作業を器用に進めていました

兄弟で息ピッタリの作業をする参加者も

作業に集中できず、司会スタッフが説明した組み立て作業の手順を聞き逃し、ことごとく島根富士通のサポートスタッフに助けてもらう筆者。集中力、大事ですね

さらりと組み立てを進める大隈社長

「疲れたでしょ。代わりましょう!」

今回の取材に同行していた編集I氏が、島根富士通のサポートスタッフに頼ってばかりの筆者を見かねて、組み立て作業をバトンタッチ。この編集I氏、じつは「基板を見るのが楽しい」「子どもと一緒に電子工作を作った」などと楽しげに発言する生粋の電子機器オタク。趣味で培ったテクニックで世界最軽量の技術に挑みます。

頼りない筆者とバトンタッチしたマイナビニュース +Digital編集部の編集I氏。趣味で電子工作を作る猛者で腕は信頼できます。“匠の技術”を目の当たりにして、組み立てたい欲があふれ出していたのはナイショです

組み立て作業を始めた編集I氏でしたが、老眼が進みつつある50代にはパーツや配線が細かすぎて、厳しい作業だった模様…

細かさを極めたパーツのオンパレードに加えて、精密さを求められる作業に苦戦する編集I氏。集中力が途切れるのも時間の問題です。そこで、ちゃっかり助っ人に手伝ってもらうことにしました。

今回のパソコン組み立て教室には、我々マイナビニュース +Digital編集部のほかに、富士通クライアントコンピューティングの新入社員も参加していたのですが、途中から同社の大隈社長が組み立て作業に飛び入り参加。フレキシブルケーブルの挿し込みなど、難易度の高い作業も手際の良くサラリとこなし、手先の器用さを披露していました。

組み立て作業をしながらも、その合間にパーツを指し示しながら「こういうところの肉をすべて抜いて(素材に穴を開ける処理)軽くしているんですね。一般的なノートパソコンと比べると、半分くらいの重さですからね。設計のみんな、がんばってます!」など、世界最軽量を実現するための工夫した箇所などを説明してくれました。

我々の後ろが富士通クライアントコンピューティングチームの作業テーブルで、新入社員の浜辺舞鈴さんが組み立てに挑戦。途中から大隈社長も加わって組み立て作業を進めていました

大隈社長に、マイナビチームへの助っ人を依頼。マイナビチームの頼りないコンビとは対照的に、さらりと組み立て作業をこなす大隈社長。作業しながら、施された工夫やさらなる軽量化の可能性などを筆者に解説するオマケつき。手を動かしながらも製品のアピールを忘れないところは、さすが社長!?

すべての組み立て作業が終わり、ようやくパソコンが完成。ACアダプターのケーブルを接続して、司会スタッフの案内とともに電源を投入すると、会場のあちこちで歓声が上がっていました。今回は、参加者全員のパソコンが無事に起動して、組み立て教室が終了しました。

組み立て作業を終えて、作り上げたパソコンとともに記念撮影。来場時に撮影した写真がパソコンの壁紙に設定されていてびっくり!

難しい作業の連続だった組み立て作業ですが、参加者にはとびきりの楽しいひとときとなったようです

大隈社長に手伝ってもらったマイナビチームのパソコンも無事に起動。「大隈社長のゴッドハンド効果で性能が3割増しですよね!」と大隈社長に振ったのですが、「そんなことはありません(笑)」とかわされました

動画編集講座や工場見学、ネジ締め競争も!

パソコン組み立て教室が終了すると、組み立てたばかりのパソコンを使った「FMV動画編集教室」がスタート。映像制作会社「TSKエンタープライズDC」のスタッフが動画制作の講師役として招かれ、出雲市をテーマとした15秒間のCMを作成します。パソコン前面のカメラで“WE LOVE IZUMO!”と呼びかける姿を自撮りして、それを用意されたPR用の素材映像と組み合わせて15秒の動画に編集します。

『TSKエンタープライズDC』のスタッフが招かれ、動画編集体験を実施。同社は、テレビ番組やイベント映像の制作をはじめ、放送設備の運営、総合広告代理業務など、映像制作に関する業務を幅広くこなす企業です

動画制作体験では「VideoProc」というアプリケーションで動画編集をしていきます。用意された動画素材をドラッグ&ドロップしてつなげていくだけで簡単に編集が可能。自分で組み立てたパソコンを使うので、感激もひとしお

グループごとに15秒間のCMに動画を編集。使う素材の選択やつなぎ合わせる順番、使うエフェクトの種類など、アイディアを出し合って、どんな動画に仕上げるかで盛り上がっていました

イベントの最後は、島根富士通の工場見学です。基板生産ラインの見学に加えて、ネジ締め競争やAIアシスタント「ふくまろ」との交流も用意。工場内で実際に使われている機材を使って作業を体験したり、AIアシスタントのデモンストレーションを経験したりと、見学だけではなく体験して楽しめる内容になっていました。

まずは「ネジ締め競争」にチャレンジ。対戦するネジ締めのエキスパートに勝利すると賞品がもらえるということもあり、熱心に聞き入っていました

ネジ締めのエキスパートが、作業を実演しながらネジ締めのやり方を説明。ネジ供給機にセットされたネジをネジ締め機で回収して、そのままネジ穴に取り付けるという流れです。参加者は、一連の作業を無駄なく的確に実演する匠に見入っていました

練習を終えて、いざ実戦がスタート。島根富士通のスタッフが見守るなか、次々とネジを取り付けていく参加者

ネジ締めのエキスパートと参加者のデッドヒートで盛り上がるネジ締め競争。大隈社長もちゃっかり参加

ネジ締め競争のあとは、工場内の基板生産ラインを見学。広大な敷地に所狭しと設備が配置されていますが、わずか数名のスタッフだけで管理しているそう

24時間稼働で基板を生産するライン。基板に部品を実装する作業は、完全に自動化されていました。実装する部品は小さな部品から始まり、工程が進むごとに大きくなっていく仕組みで、効率的に部品を実装していきます

基板生産ラインで活躍する無人搬送車(AGV)を発見

進路上に人がいると停止する仕組みを、スタッフが身をもって証明してくれました。安全面も万全な生産ラインでした

最後は、音声操作対応のAIアシスタント「いつもアシスト ふくまろ」を体験。AIエンジンにChatGPTを採用して、さらに賢くなったふくまろ。今後、積極的にAIの活用を進めていくという意気込みを感じました

以上で、イベントの全スケジュールが終了。島根富士通をあとにする筆者と編集I氏。出雲空港でフライトまでの待ち時間に、編集I氏とイベントを振り返りました。

「僕は初めての参加だったけど、ゴトー君は?」

「僕は2度目ですけど、前回は10年以上前になので、組み立ての難易度が段違いでした。LIFEBOOK UHの組み立て、難しかったですけど楽しかったですね。組み立てが終わって、電源を入れるときのドキドキ感と、無事に起動したときの充実感が最高でした」

「そうなんだ。確かに、部品がものすごく細かかったし、配線の接続は難しかったし、匠の技術は凄かったね…」

「最近はノートパソコンが主流ですし、パソコンの内部を見る機会もないでしょうし、貴重な経験になったんじゃないでしょうか」

「そうだね。モバイルPCは、そもそも分解できないモデルも多いし、パソコンの構造に興味を持った参加者もいるんじゃないかな。今回の参加者から、将来、パソコンの開発者になる子がいたら、うれしいよね」

同じ製品を店頭で購入するよりも割安に入手できるだけでなく、匠の技も触れることできる「パソコン組み立て教室」。パソコンやIT分野に興味がある人なら、家族で参加する夏休みイベントとして検討してみては?(取材・文/後藤宏)