巨人移籍1年目で防御率「1.93」 右腕が乗り越えた「2年前のトラウマ」 V奪還の立役者のひとりに

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泉は移籍1年目で見事にチームを支えた(C)産経新聞社

 9月28日の広島戦に8-1で勝利して4年ぶり39度目のリーグ優勝を決めた巨人。阿部慎之助監督を胴上げした後、岡本和真や坂本勇人など主力選手が涙を長し、多くの選手が喜びを爆発させた。各選手様々な思いがあることは間違いないが、中でも泉圭輔は今回の優勝を一際噛みしめていた一人ではないか。

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 泉は2022年にソフトバンクに在籍していた時、1ゲーム差で追う2位オリックスが負けるか、ソフトバンクが引き分け以上で優勝が決まる、という有利な優勝条件下でシーズン最終戦となるロッテ戦に臨んだ。

 その大一番で2点リードの6回に2番手で登板した泉は、山口航輝に逆転スリーランを打たれて試合は敗戦。一方、オリックスは勝利を収めて劇的な逆転優勝を決められてしまう。泉は試合後泣き崩れ、1人では歩けないほどに悔しさをにじませた。

 雪辱を誓って迎えた2023年シーズンだったが、3試合のみの登板に留まり、防御率は16.88とキャリアワーストを記録。そして、ソフトバンクで優勝を手にすることはなく、その年のオフに高橋礼とともに巨人にトレードで加入した。

 新天地では開幕1軍こそ逃すも4月上旬に昇格する。6月5日のロッテ戦で失点するまでは無失点ピッチングを続け、かつて以上の輝きを放つ。その後、一度降格するもすぐに昇格。同点やビハインド時に登板してゲームを壊さない献身的な投球を見せ、時には回跨ぎも難なくこなしてブルペンを支えた。

 安定感抜群の投球を続けて現在は35試合に登板、防御率1.93と圧巻の数字を残し、文句なしで優勝に貢献した選手と1人となった。とりわけ、昨シーズンはリリーフ陣が安定感を欠くケースが見られ、投手陣の再建が急務だった巨人にとって泉は救世主的な存在になった。首脳陣の期待にしっかり応えた泉の評価は非常に高いものになっているはずだ。

 泉自身も満足のいく投球を幾度となく見せており、今回の優勝に満足感を覚えているかもしれない。パ・リーグではソフトバンクが優勝しており、いずれもCSを勝ち抜いて巨人とソフトバンクが日本シリーズでぶつかることになれば、泉がどのような恩返しを見せてくれるのかも期待したくなる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]