成長遂げた菊池雄星に集まる熱視線 米専門サイトはFA市場での価値高騰を予測「3600万ドル以上の金額で契約できるかも」

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強豪アストロズで飛躍を遂げた菊池。そんなベテラン左腕には注目が集まっている。(C)Getty Images

 33歳の日本人左腕に熱視線が注がれている。今夏にブルージェイズからアストロズにトレード移籍した菊池雄星だ。現地時間9月27日には、球界のありとあらゆる移籍情報を伝える米専門サイト『MLB Trade Rumors」が、今オフにFAとなる選手を特集。その中で菊池もクローズアップされた。

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「その才能は明らかなものの、安定感は欠いていたキクチは、アストロズへのトレードによってようやく成功へのレシピを手にしたのかもしれない」

 そう記された菊池は、今季のブルージェイズでは22登板で4勝9敗、防御率4.75と精彩を欠いたが、7月末のトレードデッドライン直前にアストロズへ移籍。すると新天地では10登板で5勝1敗、防御率2.70と成績が一変。チームの逆転での地区優勝に大きく貢献した。

 アストロズの球団スタッフからの提言を取り入れ、「スライダーの割合を倍以上に増やさせて、カーブはほとんど使わないようにした」としたという菊池。それによって投球内容が格段に向上したという。移籍後は60イニングを投げ、被安打42、奪三振率も11.40、与四球率2.10はいずれもキャリアハイとなっている。1イニングあたりに許した走者の数を表す指標WHIPも0.93と1を切っているのだが、これは「エリートレベル」に値するもので、菊池の過去最高は11勝を挙げた昨季の1.27だった。

 来年6月には34歳となる。決して若くはないため、同サイトは「彼の年齢はFA市場において助けにはならない」としたものの、「しかし、彼はトレードされ、クオリファイングオファーを受けることがない」とも指摘する。

「クオリファイングオファー(QO)」とは、FAとなる選手に対して、所属元の球団が単年契約で残留をオファーできる制度。選手は拒否してFAとなるケースが多いが、QOを拒否した選手を獲得した球団は、所属元の球団にドラフト上位指名権などを譲渡しなければならない。オファーを受けるとFA交渉の際に一つの足枷となるのを避けられず、菊池は獲得希望球団と契約交渉することができる。

 今季は2022年にブルージェイズと締結した3年総額3600万ドル(約52億円)の契約の最終年。同サイトは「このオフは3600万ドル以上の金額での3年契約も結ぶことができるかもしれない」と予想した。

 地区優勝を飾ったアストロズは、勝率でア・リーグ他地区のヤンキース、ガーディアンズを下回っているため、ポストシーズンは10月1日(日本時間2日)のワイルドカードシリーズから戦う。相手はワイルドカードの勝率3位チームで、タイガース、ロイヤルズが有力だ。

 目の前の勝利が何よりも価値を持つポストシーズン。そんな檜舞台でさらなる好投を演じれば、菊池のFA市場での評価、価値はさらに大きくなっていく。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]