6年ぶりのツアー復帰に感動!(C)日刊ゲンダイ

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【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】#3

【第2回】藤田寛之さんと宮本勝昌さんが激突した昨年の日本シニアOP 同門の先輩後輩で日頃は仲良しでも…

 今季開幕戦で森田理香子プロが6年ぶりにツアー復帰しました。うれしかったなあ。

 理香子ちゃんからオファーを受けたのは2010年。試合中にコースの茶店で「(誰のバッグも担がない)空いているところはありますか?」と言われたのですが、あいにくその年はスケジュールがいっぱいで、試合後にメール交換して別れました。年を越え、専属の藤田(寛之)さんが初めてマスターズに出場するため、その準備に追われている頃です。「マスターズ頑張ってきて下さい」と、理香子ちゃんからメールがありました。

 彼女のバッグを初めて担いだのは、11年10月のマスターズGCレディース。練習日の一発目でした。ゆっくり大きなスイングアークから放たれたドライバーショットは衝撃的でした。キャディーは選手のボールから絶対に目を離しませんが、後にも先にも、女子プロの打球を目で追えなかったのはこのときだけ。僕の予想をはるかに超える高い弾道と球速だったからです。

「とんでもない子がいるんだな。順調に伸びればトップまで行くな」

 それが第一印象でした。この試合は予選落ちしたものの、2年後、直感はズバリでした。女子ツアーは男子より1カ月以上も開幕が早い。13年は藤田さんとシーズンを迎える前、開幕から4試合は理香子ちゃんのキャディーにつくと、初戦でツアー3勝目を挙げ、その後は3位、2位、3位。ボールはピン方向にしか飛んでいかず、理香子ちゃんの契約スタッフに「ものすごい選手になりますよ」と興奮しながら語ったことを覚えています。

 次にタッグを組んだのは5月の公式戦サロンパス杯で、ここでも3位。中1週でバッグを担ぐと、ショットを曲げる苦しい展開も1打差の逃げ切り優勝です。この年は4勝して、初の賞金女王に輝きました。

 当時は気が強そうなイメージを持たれていたようですが、周囲に気遣いのできるやさしい女性です。この年、一気にブレークしたので周囲に対しての振る舞いに戸惑っていたのでしょう。

 ゴルフに関しては芯が通っていて、ある試合で僕がピンに対して安全な右サイドへ打つようにアドバイスすると、理香子ちゃんはその通りに打ったのですが、「ここはピンに向かって打ってもよかったんじゃないですか」と言うのです。キャディーの言いなりになっているような選手じゃダメ。お互いに意見を言って互いを理解し、次のコース攻略に生かすのがベストな関係です。理香子ちゃんはゴルフに関しては自分の思っていることをはっきり言う。キャディーとしては仕事がしやすい選手です。

 今、アプローチイップスを克服しただけでなく、賞金女王のときより飛距離も伸びたというからトレーニングも頑張っていたのでしょう。新しい「森田理香子」を間近で見られる日が楽しみです。

(梅原敦/プロキャディー)