「WBCのように抑えればいい」――米識者の大谷翔平の投手復帰論に元MLB球団社長が反発「なぜ選手を危険に晒すんだ?」

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投手としての復帰について注目を集める大谷。(C)Getty Images

「先発させるといわけではないが、9回に登板させて、あのワールド・ベースボール・クラシックで、マイク・トラウトをねじ伏せた時のように、みんな抑えればいいんじゃないか?」

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 これは、元米スポーツ専門局『ESPN』の記者であるリッチ・アイゼン氏が、自身がホストを務めるYouTubeチャンネル『The Rich Eisen Show』で投じた意見だ。人気コメンテーターでもある同氏は、右肘側副靭帯の損傷からのリハビリ途中にある大谷の今シーズン中の投手復帰について前向きに論じた。

 過去に肘に2度のメスを入れた選手、とくに投手が1年以内で再起をケースがないわけではない。しかし、「打者」として、ほぼ毎試合に出続けている大谷のような選手は稀。「初のケース」と言っても過言ではない。それだけに、アイゼン氏の意見は、先発と比較して消化イニングの少ないリリーフでの起用とはいえ、非現実的な論調と言える。

 ゆえに識者からは反論を受けている。同番組にゲストで招かれた元マーリンズの球団社長であるデビッド・サムソン氏は「無謀すぎる。たしかにリリーフでなら投手は多少なりとも早めに戻ってくることは可能だが、ドジャースが彼に多大な投資をしたのは、先発ローテーションの一角として登板するためだ」と指摘した。

 以前から“投手・大谷”の成功を願うアイゼン氏は「素晴らしいアイデアだと思わないか?」と意見を返すも、サムソン氏は、「今、復帰できれば野球界にとっては素晴らしいことだ。しかし、それは“絶望”という本当に酷い香りを放つリスクのある決断でもある」と断言。そして、こう続けている。

「なぜ選手たちを危険に晒すんだ? 我々がワールド・ベースボール・クラシックで選手たちの参加を心配する理由はそこでもある。彼らはシーズン真っ只中である7月のような全力投球を3月からやっている。オオタニもそうなった。だから、このタイミングでそうする必要はない。

 それにドジャースがオオタニに投資した分の収益を持続的にフィールドの内外で回収するには、あのユニークな投打両面での活躍が必要になる。彼らはただ指名打者をやらせるためだけにあれだけの契約をしたわけじゃない。本当にチームのためになることを考える必要がある」

 さらに「たしかに短期的には(年内の投手復帰は)いいかもしれない。だが、すぐに中長期的な問題に変わる」としたサムソン氏。経営や編成面から見ても、やはり大谷の今シーズン中の投手復帰は理想的ではないと言えそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]